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予約システムお悩み相談① 順番待ちシステムで患者離れの未来がやって来る?「隠れ待ち時間」に注意

メディカル革命コラム
メディカル革命コラム
Yuko Inoue

こんにちは。GMOリザーブプラスです。

どこの医療機関でも共通の課題となるのが、患者さんから不満の声が挙がりやすい「待ち時間」です。

医療機関は1日に多くの患者さんを受け入れており、症状によっては治療が長引くこともあります。これは昔も今も変わりませんが、インターネットやスマートフォンの普及で患者さんの選択肢は増えていますし、現代人は忙しいので、より自分の都合に合ったクリニックを探す傾向が今後も一層強くなるでしょう。

そこで、今回は、患者さんの「待ち時間」について考えてみたいと思います。

1.順番待ちシステムで患者離れの未来がやって来る?

弊社では、「なぜメディカル革命で予約を管理するとクリニックの収益が上がるのか?② 医療機関の収益構造にプラスで必要な要素について考える」で述べているように、順番待ちシステムには様々な課題があり、クリニック経営の収益を拡大するという観点では限界があると考えています。

とはいうものの、

「うちは順番待ちシステムを入れているから患者の待ち時間は少ないはず」
「そもそも混んでいるから順番待ちシステムを入れている。もう患者は十分多いので、受け入れ制限をしているぐらい」

というお客様ももちろんいらっしゃいますし、メディカル革命でも順番待ち受付は可能ですので、診療内容によって部分的に順番待ちの運用をお勧めする場合もあります。

一方で、メディカル革命にお問い合わせをいただくクリニック様から、

「5年以上前に順番待ちシステムを導入したが、最近、患者離れが起きているように思う」
「患者は減っていないが、どんなに接遇を良くしても、待ち時間に関しては口コミ評価を下げる原因になっている」

というご相談を受けることも増えてきました。

待ち時間を減らすために導入した順番待ちシステムで、なぜこのようなことが起きるのでしょうか?

2.順番待ちシステムの患者さんの待ち時間調査データより

下のグラフはあるクリニック様の保険診療の順番待ち診察において、受付開始後の時間の経過とその間に順番を取得された患者さんの人数の比率を示しています。

順番待ち取得タイミングと人数の比率

午前の順番待ちは診察開始時間の30分前からWEB、LINEで受付を開始しますが、データから次のことが分かりました。

●各曜日で受付開始から20分以内に60%以上の方が番号を取得している
●土曜日は最初の5分間にアクセスが集中し、総来院数194人のうち、135人が番号を取得している

土曜日はとくに争奪戦の様相ですね。受付開始時間前からスマホを持って待ち構えている患者さんの様子が目に浮かびますが、5分以内に順番を取得したにもかかわらず、取れた番号が100番以上先だったという方がこれほどまでに多いことにご注目いただきたいと思います。

次に、上のグラフの元データから、さらに患者さんの順番を取得した時刻から診察が終了した時刻までの平均時間を3つの切り口で見ていきましょう。

順番を取得した時刻から診察が終了した時刻までの平均時間

「1.順番を取得(予約)してから来院を記録するまでの平均時間」には、順番が近づいたお知らせをメールやLINEで受け取ってから、クリニックに移動するまでの時間も含まれます。

平日は平均で70分前後かかっているようです。これは、たとえば、8時30分の受付開始直後に順番を取得した方が、9時40分に来院している、ということを示します。

土曜日の平均時間は3時間を超えていました。8時30分に順番を取得した方は、11時30分を過ぎてから来院し、さらに診察に呼ばれるのを待つ、という状況です。

これに対し、「2.来院~診察までの時間の平均時間」は土曜日でも40分以内でした。平日は16分~31分、院内の滞在時間としては、ギリギリ患者さんが我慢できる範囲なのでしょうか。

一般的に、診察の「待ち時間」とは、この「院内滞在時間」のことを表すことが多く、全国の医療機関でも、院内滞在時間を減らす改善に取り組んできたと言って良いと思います。

順番待ちシステムの普及もその取り組みの現れです。

3.クリニック側と患者さん側の「待ち時間」の認識にはギャップがある

しかしながら、ここで紹介しているデータが示すとおり、順番待ちシステムで減らせる待ち時間は「院内滞在時間」のみのようです。

順番を取ってお待ちになる患者さんの下記のような状況を想像してみていただければ、前述した「患者離れが起きているのではないか?」「口コミ評価が下がっている」の理由がお分かりいただけるのではないかと思います。

● 患者Aさん
「順番を取るために朝8時30分からスマホを持って待機し、その後、いつ順番が近づくか分からないので、スマホで「待ち番号」ページを複数回更新しないといけませんでした。」

● 患者Bさん
「順番が大分先だからといって、その間に用事を済ませられるかというと、そうではない。前回は1時間待ったが、今回は早く呼ばれるかもしれないと思うと、落ち着いた気持ちで出かけるのは無理。」

● 患者Cさん
「今か今かと順番が近づくのを待っていても、一向に呼び出し通知が来ない。会社を半日休んだので、ついでにあれもこれもしたかったが、何もできずにおり、呼ばれたのは結局正午過ぎ。時間を返してほしい。」

4.患者さんの「隠れ待ち時間」の存在にお気づきですか?

患者さんにとっての「待ち時間」とは、順番を取得したときから始まり、いつ呼ばれるか分からずに過ごす時間もすべて含まれているのです。いつ呼ばれるか分からないという状況は、体は確かに空いているので、用事を済ませることもできるかもしれませんが、心理的には患者さんを拘束してしまいます。

医療機関様が認識していないこれらの「隠れ待ち時間」が存在するために、いくら呼ばれたあとの「院内滞在時間」が短かったとしても、患者さんは貴重な半日を潰す結果となり、「あのクリニックは待たされる」という印象を持つことになるでしょう。

場合によっては、「隠れ待ち時間」があまりにも長いのに対し、診察時間が極端に短いことで、さらに印象を悪化させてしまうこともあるようです。

もう一度上のデータをご覧ください。

このクリニック様では、1人あたり平均2分の診察時間を想定しています。

来院数が比較的少なかった月曜日でさえ、朝イチで準備して5分以内に頑張って順番を取ったものの、44番を取得した方は、88分の「隠れ待ち時間」が存在することになります。

反対に、「隠れ待ち時間」が30分以内であるのは計算上は順番が15番までの方までです。

月曜日の総来院数112人のうち86.7%、金曜日の総来院数120人のうち87.5%、土曜日の総来院数190人のうち92.2%の患者さんが30分以上「いつ呼ばれるか」を気にしないといけないことになります。

順番待ちシステムは、一見公平に見えますが、実は毎日ごく限られた患者さんだけが30分以内に診察に呼ばれるという恩恵を受けることができ、それ以外の多くの患者さんにはストレスを与える可能性が高い偏った仕組みであると言わざるを得ないでしょう。

5.医療機関だから「2時間待ちは当たり前」の時代は終わります

では、毎日できる限り多くの患者さんを受け入れし、且つお待たせしないようにするにはどうしたら良いのでしょうか?

弊社では、やはり予約制(時間予約、または時間帯予約)を取り入れることをお勧めします。

患者さんが困るのは時間が読めない状況です。予約時間が分かっていれば、少なくともその時間に合わせて行動をすることができます。予約時間通り、または待っても30分程度であれば、前後の予定も立てやすいでしょう。

こうした体験を通して、患者さんにも「次回もまた予約してから受診しよう」という気持ちが生まれます。

そして、順番待ちシステムが普及し始めた5~6年前と比べて、患者さんを取り巻く環境も変わっています。

医療業界以外に目を向けると、最近はスマートフォンの機種変更のために訪れる携帯ショップでも予約制を導入していますし、飲食店も予約の方優先は当たり前です。予約をしていない場合、待ち時間が30分と分かれば待つ場合もあるでしょうが、2時間待つようだったら他のお店に行くでしょう。

医療業界も同じです。患者さんは、毎回順番取得のために早起きをしてスマホに向かう必要があるクリニックより、来院時間が事前に分かっている医療機関を選び始めるでしょう。

医療機関だから「待たされるのは当たり前」という耐性をお持ちの患者さんは年々減り、お待たせしないクリニックが差別化を図ってどんどん成果を上げている中で、患者ニーズに合わせて変化をしない医療機関は取り残されてしまうのではないでしょうか。

6.患者ニーズに合わせた運用に変えていくために

ここまで順番待ちシステムの実態について述べてまいりましたが、弊社では順番待ちがなくなるとは考えていません。

医療機関においては急な症状や怪我で来院する患者さんの受け入れが必要であるため、むしろ当日の予約外の患者さんの受け皿は用意すべきと考えます。

お伝えしたいのは、忙しくて時間のない患者さんのニーズに応えたり、患者さんの時間を大切にしているという考えを示すことは、今まで以上にクリニックの経営にも必要になってきているということです。

患者さんも変わっていますし、時代も変わっています。
医療機関の予約受付の運用も変えることができます。

予約の患者さんと当日の順番待ちの患者さんの受け入れ比率は変更できると思いますので、患者さんのニーズを取り込めていないために患者離れが起きているのではないかとお考えのクリニック様はぜひこの機会に自院の最適な受け入れ比率について検討してみていただければと思います。

次回は当日順番待ちと予約制を使い分けするパターンと事例をご紹介する予定です。

順番待ちから時間帯予約に変更した/併用されている医療機関様の事例

皮膚科の当日順番待ち受付から時間帯予約への移行を理想的に実現(日野皮フ科医院様 福岡県)
小児科にうれしい機能満載!予約管理カレンダーは順番待ちと事前予約の並行管理が不可欠の小児科で本領発揮(すぎはら小児科・アレルギー科様 北海道)
電話応対数50%削減を実現。時間帯予約への切り替えで診察の事前準備が可能に
IVR(電話自動応答システム)でもMRI検査の予約が可能に。70歳以上の患者さんが多く利用中(高木外科内科様 愛知県)

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目次

  1. 1.順番待ちシステムで患者離れの未来がやって来る?
  2. 2.順番待ちシステムの患者さんの待ち時間調査データより
  3. 3.クリニック側と患者さん側の「待ち時間」の認識にはギャップがある
  4. 4.患者さんの「隠れ待ち時間」の存在にお気づきですか?
  5. 5.医療機関だから「2時間待ちは当たり前」の時代は終わります
  6. 6.患者ニーズに合わせた運用に変えていくために
  7. 順番待ちから時間帯予約に変更した/併用されている医療機関様の事例

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