こんにちは。GMOリザーブプラスです。
これまでの記事では、整形外科クリニックにおける予約システムの導入が、受付業務の効率化にとどまらず、リハビリ運用の数値管理、人材マネジメント、働き方改革へとつながっていることをお伝えしてきました。
今回はシリーズの締めくくりとして、弊社の予約システム「メディカル革命 byGMO」の実際の導入現場で私たちが目の当たりにした変化をもとに、これからの医療現場に求められるDX(デジタルトランスフォーメーション)のあり方を考えていきたいと思います。
1.現場から感じられる「変化への期待」
弊社のメディカル革命をご導入いただいた整形外科クリニック様にレクチャーで訪問させていただくと、スタッフの皆様がシステム導入で生じる現場運用の変化への期待感から、非常に前向きな雰囲気で受け入れてくださるのを強く感じます。
レクチャーの最中に積極的に質問をくださる場面も少なくなく、現場をもっとよくしたいという熱意が伝わってきます。
このような雰囲気の中で、システムの定着もスムーズに進み、変化が自然に受け入れられていく様子に弊社も励まされています。
ここでお伝えしたいのは、「今の運用とシステムの仕様が完全には合わないから」といった理由で導入を見送ってしまうことは、結果として課題解決のチャンスを先延ばしにしてしまう可能性があるという点です。
システム導入に際し、大切なのは、「変化によって現場がより良くなるかもしれない」という前向きな空気を大切にし、育てることだと様々な現場を見てきた弊社は実感しております。
もし、職員の皆さまがその期待感を持ってスタートできれば、多少の運用の違いがあっても、現場での工夫や柔軟な対応で乗り越えていけることが多いのです。
2.院内DXを成功させるコツは患者さんをじわりと巻き込む現実策をとること
予約システムの導入というと、すべてをデジタル化する大がかりな改革や、先進的なクリニックだけのものというイメージを持たれるかもしれません。
しかし実際には、デジタル化が必要な部分は効率的に自動化し、アナログの良さや柔軟な対応はそのまま活かすようなバランスの取れた導入こそが、現場にとってもっとも現実的で効果的な方法です。
そして、多くのクリニックでは、そうしたバランスを特別に意識せずとも自然と実現されているのが実情です。
弊社の整形外科クリニックのお客様が実践してこられた患者さんへのシステム利用拡大と院内業務効率化の進め方を以下にご紹介します。
2-1.LINEによる予約リマインド通知の活用
LINEによる予約リマインド通知を活用することで、「予約を忘れて来院しない」というケースが減り、当日のキャンセル対応や時間変更の電話対応が大幅に減少します。
福岡県のある整形外科クリニック様では、メディカル革命導入後に職員が患者さんに対して丁寧に声をかけ、ときには一緒にLINE登録の操作を行なうことで、2年間で約6,000名の登録者数にまで増やすことに成功されました。
▼リハビリのLINE予約率を高めて業務負担の軽減に成功した秘訣は?(福岡県の事例2)
高齢の患者さんの中にもスマートフォンを日常的に使用し、LINEで通知を受け取ることには慣れている方も多くいらっしゃいます。
地道に声をかけ、利用を広めることで、予約日時の確認や予約自体を患者さん自身で行なう割合が高くなっていき、結果的に職員様の業務負担の軽減にもつながりました。
職員の方々が優しく寄り添い、手助けすることで、システムの活用範囲は大きく広がります。
DXとは、システムを誰でも使えるようにするための工夫を伴うプロセスであり、現場の支援と工夫次第でいかようにも発展させられるということをお伝えしたいと思います。
2-2.タッチパネル再来受付機(QRコードチェックイン)* の活用
クリニックの受付で患者さんにLINE画面から診察券QRコードを表示してかざしてもらうだけで、予約システム側で受付した状態になるタッチパネル再来受付機も、来院数が多い整形外科クリニックのお客様の多くで便利にご利用いただいています。

患者さんは一度このセルフチェックインを体験すれば、2回目以降はご自身で受付して下さいますので、まずはご利用いただく患者さんを絞ってご案内し、徐々にご案内範囲を広げるのが、一番、事務スタッフの方のご負担が少ないようです。
1ヶ月も経てばリハビリ通院の方を中心に全体の3割から4割の方がセルフチェックインに移行します。あるいは、そのぐらいを目標にしていただくと良いと思います。
受付のピーク時間帯の負担が分散され、事務スタッフの方も導入の効果を実感できるようになります。
*タッチパネル再来受付機は有料のオプション機能です。
2-3.キャッシュレス決済(WEB決済)の活用
多くの整形外科クリニック様でご活用いただいている機能のひとつに、キャッシュレス決済(WEB決済)があります。
特に、忙しい会社員や学生さんにとって「会計待ちの時間が読めない」ことは大きなストレスになります。たとえリハビリが予定通り終わっても、会計のために長時間待たなければならない状況が続けば、通院継続に支障が出ることも考えられます。
このような課題に対応する手段として、まずは一部のご希望の患者さんからキャッシュレス決済の利用をスタートし、徐々に対象を広げていくという方法が、多くのクリニック様で効果を上げています。
メディカル革命のキャッシュレス決済機能は、患者さんのマイページと連動しており、事前にクレジットカードを登録するだけで、リハビリ終了後の会計を待たずにそのまま帰宅できます。
Amazonなどのオンラインサービスに慣れた患者さんにとっては、ごく自然でストレスのない体験であり、スポーツジム感覚で「時間を無駄にしない通院」として受け入れられやすいのも特長です。
さらに、受付や会計が集中する時間帯に、一部の会計処理を後で行なえることで、スタッフの業務負荷の分散や丁寧な接遇が可能になるというメリットもあります。
ここまでご紹介してきたように、新しいシステムの活用は、すべての患者さんに一律で求める必要はありません。
「使える人から、できる範囲で導入していく」という柔軟なスタンスで、十分に効果を発揮します。
一部の患者さんがスムーズに受診・会計を済ませられるようになることで、職員の方々に余裕が生まれ、他の患者さんへの丁寧な対応にもつながります。
ポイントは、以下の3点に集約されます。
● できる範囲から始めて徐々に広げること
● 無理に押しつけないこと
●「自分も使ってみたい」と自然に思ってもらえるような働きかけをすること
このようなスタンスこそが、DXを持続的に定着させるコツであると、弊社は考えています。
3.まとめ 患者さんに寄り添うDX化を
DXの本質は、業務効率だけでなく「人のための時間を生み出すこと」にあります。
デジタルの力を活用しながらも、人のあたたかさや現場の思いやりを大切にすること。 それが、医療機関における本来のDXのあり方ではないでしょうか?
受付や会計の混雑が緩和されれば、スタッフの時間と心にゆとりが生まれます。
そのゆとりを、高齢の患者さんや初診の方、戸惑っている方への丁寧なご案内に充てることができます。
つまり、テクノロジーが生み出した余裕によって、より「人に寄り添う医療」が実現されていくのです。
こうした考え方こそが、弊社が提案する「人にやさしいDX化」の根幹にあります。
弊社は「医療現場を豊かに」というスローガンのもと、テクノロジーと現場の思いをつなぐ取り組みに力を注いできました。
今後も、クリニックで働く皆さまの現場の声に耳を傾けながら、一つひとつの取り組みを通じて、人の力を最大限に引き出すための、無理のない・やさしいDXのかたちをご提案してまいります。

整形外科クリニック様の導入事例記事一覧
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●WEB・LINEからの予約が混雑緩和につながり、患者さんの満足度向上へ(さいた整形外科クリニック・福岡県)
●整形外科クリニックの開業と同時に予約システムを導入して、開業早々に目標収益達成 新患の予約はほぼキャンセルなし(なか整形外科 京都西院リハビリテーションクリニック・京都府)
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