こんにちは。GMOリザーブプラスです。
同シリーズの以前の記事では、整形外科クリニックでは来院患者数が多く、とくに受付まわりの業務負担が大きいこと、そして「メディカル革命」を活用することで院内の情報共有が進み、業務のあり方そのものが変わることをお伝えしました。
中でも、「誰が」「何時に」「どの目的で」来院するのかという予約情報をリアルタイムで共有できることは、日々の業務を円滑に進めるうえで重要な鍵となります。
今回は、効率化のその先として「予約データの活用」についてご紹介します。
これは整形外科に限らず、予約システムの導入を今まさに検討しているクリニック様にとって、導入後の価値を最大化するために知っておいていただきたいポイントです。
1.「受付の効率化」だけではない、予約システムが持つデータの価値
全国の整形外科クリニックでは、現在も多くの現場で以下のような運用が続いています。
● 電話・対面での予約受付
● 紙台帳によるリハビリ予約管理
整形外科は来院患者数が多く、診察やリハビリの予約調整が日々の業務の多くを占めています。
ところが、これらの情報は「その場限り」で処理されることが多く、業務改善や経営判断に活用されていないのが実情です。
しかし実際には、予約情報は単なる受付データではなく、現場のオペレーション改善に活かせる貴重な情報源です。
予約データをどのように扱うかで、クリニックの未来が大きく変わる可能性があります。
2.整形外科で予約システム導入が進まない理由
弊社が整形外科クリニック様からよく伺うのは以下のような懸念点です。
「高齢者が多く、ネット予約は使えないのでは?」
「リハビリ予約はルールが複雑で、システム化は無理だろう」
確かに今さら申し上げるまでもなく、慢性的な腰痛や関節痛の訴えが多い高齢の患者さんが多く、リハビリ通院という独特の通院形態があるのが整形外科の特徴です。
また、リハビリ業務では運動器リハビリテーション料の施設基準を満たすため、厳密な数値管理が必須となり、既存のシステムでは対応が難しいという印象を持たれがちです。
加えて、新しいシステムを導入するとなると、導入時の混乱が大きい、現場が対応しきれない、といった不安を抱く職員の方も少なくありません。忙しさゆえに、現状維持を選びたくなるのは無理もありません。
そして、職員の方からの「うまく使いこなせないのでは?」「むしろ手間が増えるのでは?」といった疑問も導入のハードルになりがちです。
こうした懸念があがることで、「毎日忙しいけど、なんとか回せているから」と、結果的に検討段階で導入を見送ってしまうケースも多いようです。
3.実は整形外科こそ、予約システムを活用できる診療科
繰り返しになりますが、整形外科の1日あたりの来院数は他科と比べて圧倒的に多く、受付スタッフの業務負担も非常に大きいです。そのため、次のような課題が生じやすくなります。
整形外科クリニックで生じやすい課題 ● 順番待ち診察で長時間の待ち時間が発生し、患者さんからクレームが上がる |
このように、来院数が多い診療科ほど、運用上の課題は少なからず発生します。ですが、そのオペレーションを見直さない限り、状況が大きく改善することはありません。
さらに注意しておきたいことは、こうした業務負荷が続くと、理学療法士の離職や残業といった、経営課題にも発展することです。
では、どうしたら良いのでしょうか?
多くの整形外科クリニックのお客様のシステム導入をご支援してきた弊社からは、あらためて、整形外科こそが、予約システムの力をもっとも発揮できる診療科であることと、予約システムを活用すれば、こうした問題を段階的に解消し、運用改善へとつなげていくことが可能になることをお伝えしたいと思います。
4.整形外科クリニックにおける予約システム導入から売上拡大までの道すじ
弊社が支援させていただいた整形外科クリニック様では、以下のような段階を経て先ほど述べた課題を少なからず改善し、さらに売上拡大までの成果を出されています。
ステップ1
紙の予約台帳をデジタル化することにより、受付・診察室・リハビリルーム間の情報共有を可能に
ステップ2
WEB/LINE予約を開始して電話対応を削減。空き枠が可視化され、キャンセル管理ができることで稼働率がアップ
ステップ3
利便性向上で患者満足度がアップ。予約データから数値管理がしやすくなり、スタッフの残業時間が削減されスタッフ定着に
ステップ4
職場環境の改善により理学療法士を増員、結果として収益拡大に貢献
上の図では、予約システム導入による予約情報のデジタル化と院内の情報共有がこれらの道すじのベース=土台になっていることがお分かりいただけると思います。
ステップ3以降はステップ1・2で築いた仕組みから生じる副産物のようなものではありますが、多くのクリニック様で、ステップ1・2を順調に進めていった先に、職員様のモチベーションが高まり、可能性を広げていらっしゃることにご注目いただきたいと思います。
いずれにしろ、とくにステップ1・2で予約データの基盤を整えることが、その後の好循環を生み出すカギとなります。
5.可視化された予約データは、未来の運用資源に変わります
紙の予約台帳をデジタル化すると、一例ですが以下のような情報が蓄積され、活用可能になります。
予約システムに蓄積される情報の例
● 患者個人の予約日時・内容等の履歴
● 患者個人の予約経路(院内かWEB予約かLINE予約か、など)
● 患者個人のキャンセル率
● PTごとのリハビリ実施単位数
● PTごとの稼働率
これらの情報は、予約システムで管理されることで、ただの「消耗するだけ」の情報ではなく、次のような改善施策に活用できます。
● 稼働率の分析
● PTごとの目標単位数設定
● 人員配置や育成の指標
● キャンセル率の改善
さらに、収益性にも直結します。
リハビリ枠の稼働率が1割アップするだけでも、クリニック全体の月間収益に与える影響は決して少なくないことはご承知のとおりです。
6.まとめ 予約データは医療現場の仕組みを支えるインフラ
これまでお伝えしてきたように、予約システムというと、「業務効率化」と「患者さんの利便性」ばかりが目的とされがちですが、弊社では、本質は、医療現場の仕組みそのものを支えるインフラであると考えています。
データを蓄積・活用することで、人手に頼っていた業務の範囲を広げることができ、より持続可能で効率的な運営が可能になるのです。
弊社は、多くの整形外科クリニックのお客様の変革をサポートしてきた経験から、こうした視点の重要性を強く実感しています。
本記事が、これまでに予約システムの導入をご検討されながらも、運用面での不安から見送られたご経験のあるクリニック様にとって、再度前向きにご検討いただくきっかけとなれば幸いです。
次の記事では、整形外科におけるリハビリの数値管理と経営改善の仕組みについて解説いたします。
整形外科クリニック様の導入事例記事一覧
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