こんにちは。GMOリザーブプラスです。
以前も 別の記事 で取り上げましたように、クリニック経営において、患者さんの「待ち時間」は、満足度やリピート率に直結する大きな課題です。とくに、診療後の「会計」は、患者さんが最後に接する場所であり、そのスムーズさが医療機関全体の印象を左右する大切な場面となります。
最近では、「なるべく会計で待たせたくない」「キャッシュレスに対応したい」というニーズが高まっており、実際に多くの医療機関から、以下のようなご相談をいただくようになりました。
「キャッシュレス決済を求める声が増えているが、どこから始めればよいか分からない」
「自動精算機を導入すべきか迷っている。スペースや費用の問題もあって悩んでいる」
「現金対応のみのままで大丈夫なのか不安になってきた」
こうした背景には、日常生活でのキャッシュレス利用が一般化していること、そしてそれに対する医療機関の対応の遅れとのギャップがあると考えられます。
これまで、医療機関での支払いといえば現金、というイメージが根強くありましたが、最近では、そのイメージも患者さんのなかで少しずつ変わりつつあるのです。
そこで今回は、クリニックにおける「会計まわりの課題」にフォーカスし、患者さんをお待たせしない会計のあり方について考えてみたいと思います。

1.診療の最後の待ち時間「会計待ち」は盲点になりやすい
「診察を受けて、さあ帰ろうと思ったら、なかなか会計で呼ばれず、あとの予定に間に合うか不安になった」
こうした経験をお持ちの方は少なくないのではないでしょうか?
医療機関における「会計待ち」は、診察の延長線として捉えられがちで、課題としてあえて取り上げられることは多くありません。
しかし実際には、患者さんにとって診察後の待ち時間は、体感としては実際の時間以上に長く感じられがちです。
診察という目的を終えた時点で、患者さんの気持ちは「次の予定」や「早く帰りたい」というモードに切り替わっているからです。

そのため、会計を待つという行為自体が、大多数の患者さんにとって大きなストレスとなります。
また、窓口対応が長引くと、その次の患者さんをすぐに呼ぶことが難しくなり、受付が詰まりやすくなります。
診察の進行状況とは異なる軸で混雑が発生するため、会計待ちは予測が難しく、スタッフにとっても管理しづらい盲点になりがちです。
こうした背景から、近年では「診療後、会計を待たずに帰れる」仕組みへの関心が高まりつつあります。
2.会計まわりの効率化に関心が高まる中で広まる自動精算機の導入
こうした「会計待ち」への不満や、受付業務の集中による負荷の高まりを背景に、近年では多くの医療機関で「自動精算機」の導入が進んでいます。
これは単に窓口業務の効率化を図るだけでなく、受付業務の負荷分散や、待合室の混雑緩和にもつながっており、患者さん・スタッフ双方にとってプラスの効果が見られています。
弊社でも、自動精算機の取り扱いを開始して以来、多くのクリニック様からお問い合わせをいただいています。
レセコンと連動できるので、日々の会計管理が効率化される点、自動消し込みに対応しているので締め作業が簡単になる点(*機種によります)で、導入された施設からは高い評価をいただいています。
3.便利なはずの自動精算機も万能ではない
一方で、自動精算機は決して「万能」というわけではありません。
導入前に慎重に検討すべき点もあります。
たとえば、操作に不安のある高齢者にとっては、近年広がってきたスーパーのセルフレジと同様、「慣れない」「毎回緊張する」といった声が上がることもあるでしょう。
また、車椅子をご利用の方や、松葉づえをついている方、歩行が不安定な高齢者など、何らかの医療的ケアを必要とされる患者さんにとって、自動精算機の操作は負担となるケースがあります。
こうした患者層に配慮するためには、結局スタッフの補助が必要となり、「すべての患者さんにとって快適」という状態を実現するには、もう一段の工夫が求められます。
初期導入コストが高く、スペースも取るので設置場所が限られることも、自動精算機の導入のハードルになりがちです。
クリニックの規模・診療科・来院頻度・患者層から費用対効果を鑑みて、自院にとって最適なキャッシュレス決済の手段を用意したいところです。
4.社会全体で進むキャッシュレス化、医療現場も例外ではなくなっている
ところで、冒頭で書きましたとおり、すでに日常生活では、キャッシュレス決済が普及し、当たり前の存在になりつつあります。
電車やコンビニ、スーパー、飲食店に至るまで、現金を使う機会は確実に減っています。
さらに、Amazonなどのネット通販やサブスクリプション型サービスのように「一度カードを登録しておけば、その後の支払いは自動」というスタイルも、多くの人には一般的になっています。
このような生活スタイルに慣れた患者さんにとって、「病院に行くときだけは財布を持っていく必要がある」「カードが使えないかもしれないから、現金をおろしてからいかないといけない」という状況には、少なからず不便さを感じているのではないでしょうか?
2023年の日経メディカルの調査では、医療機関におけるキャッシュレス決済の導入率は、一番多いクレジットカード決済でさえ23%でしたが、現在では新規開業クリニックを中心に、何らかのキャッシュレス決済を導入する施設が確実に増えています。
医療現場でもよりスマートな支払い体験が求められるフェーズがきていると言えるでしょう。
5.「オンライン決済」で、診療後に会計を待たずに帰宅する患者体験を
このような社会的背景もあいまって、医療機関でも導入が広がっているのが「オンライン決済」です。
オンライン決済は、WEB決済やネット決済とも呼ばれ、インターネットを介して商品の支払いやサービスの代金を受け取る方法です。
自動精算機やセミセルフレジと共存可能なこの決済方法の最大の特徴は、「診療後、会計を待たずに帰れる」体験を提供できることです。
基本的な流れは次のようになります。
① 患者さんは初回にクレジットカードを登録。
その後は毎回、受診後にクリニック側のタイミングで事後決済の操作を行なって支払い完了。
② 受付では、
「カードをご登録済みですね。オンラインでお支払いが完了しますので、本日はそのままお帰りいただけます」
とご案内するだけとなります。
この仕組みにより、患者さんは会計の準備ができるまで待つこともなく、財布を出す必要もなく、診察後に速やかに帰宅することが可能となります。
(※メディカル革命ではオンライン決済を利用する患者さんに領収書、診療明細書を個別にデータで送付できる有料オプションを用意しています。)

窓口でもキャッシュレス決済に対応しているという場合の多くは、決済端末を用意しており、各種クレジットカード、バーコード決済に対応しているケースを指していますが、これはいずれも対面で行なう必要があります。
オンライン決済は、「非対面」、つまり患者さんがその場に留まる必要がない状態となりますので、そこが大きな違いということになります。
6.まとめ ― キャッシュレス化は、患者さんとスタッフの「時間」への投資
医療機関におけるキャッシュレス化は、単なる利便性の向上にとどまらず、「待ち時間をどう短縮するか」「会計業務をどう効率化するか」という本質的な課題の解決に直結します。
とくに注目すべきは、「対面決済」か「非対面決済(オンライン決済)」か、という違いです。
どちらもキャッシュレスではあるものの、待ち時間が発生するかどうかを左右する分岐点になるのがこの部分です。

対面型のキャッシュレス決済(カード端末やバーコード決済など)は、現金よりはスムーズですが、受付での処理が必要なため、結局は窓口でのやりとりが発生します。
一方、非対面で完結できるオンライン決済であれば、診察後に会計を待たず、そのまま帰宅できるため、待ち時間そのものをゼロにすることが可能になります。
決して、自動精算機やセミセルフレジといった対面型の会計システムと競合するものではなく、併用によって選択肢を広げることができます。
まずは、無理のない範囲でオンライン決済をスモールスタートで取り入れてみるのも、一つの選択肢ではないでしょうか?
キャッシュレス化は、患者さんとスタッフの「時間への投資」であり、診療体験の質を高める第一歩です。
次回は、予約システムとオンライン決済を連携させることで、実際にどのような業務改善や患者満足度の向上が図れるのか、実際のクリニック様の事例を交えてご紹介します。