港区の子育て支援を支える複合施設「みなと子育て応援プラザpokke」
―― 『みなと子育て応援プラザpokke』はどのような施設ですか?
今年で18年目を迎える当施設は、出産前から中学生まで「切れ目のない」子育て支援を提供している複合施設です。子育てひろば・一時保育・トワイライトステイ・ショートステイの4事業を展開しており、24時間365日体制で稼働しています。ショートステイでは区内の方のみですが、最長6泊7日の宿泊でのお預かりも行っており、子育てひろば・一時保育は区外の方でも利用することができます。
この地域は共働き世帯が多く、近くに頼れる親族がいないご家庭も少なくありません。
pokkeの最大の特徴は、利用理由を問わないことです。「仕事」はもちろん、「少し休みたい」「リフレッシュしたい」といった休息(レスパイト)目的でも、気軽にご利用いただけます。
現代の保護者の皆さんは本当に頑張っています。だからこそ、無理をし続けるのではなく、少し力を抜いてリフレッシュしてほしい。困ったときや助けが必要なときに、遠慮なく「助けて」と言える場所でありたい――そうした思いで、誰もが気軽に利用できる子育て支援の場を提供しています。

電話は月間1,000件、紙台帳での予約管理が抱えていた運営課題
―― システム導入前は、どのように予約管理を行っていましたか?
以前は予約受付をすべて電話または来館による書面受付で行い、紙の台帳で管理していました。
特に利用の多い一時保育では、予約開始時間の朝9時になると電話が一斉にかかってきます。保護者の方はつながるまで何度も電話をかけ直す必要があり、忙しい朝の時間帯に大きな負担となっていました。
施設側も月におよそ1,000件近い電話対応に追われ、予約受付や確認などの業務だけで月に約150時間もの負担がかかっていました。
さらに一時保育では、年齢ごとに預かれる人数の上限が決まっています。その管理も紙台帳で行っていたため、誕生日の前後で年齢区分を誤ってしまうリスクがありました。
また、電話での受付・変更が中心だったことから、予約内容の相違によるトラブル(言った・言わないの行き違い)が起きる可能性も常にありました。
本来であれば職員は保護者や子どもと向き合う時間を大切にしたいのですが、電話対応に多くの時間を取られてしまっていたのが実情でした。

利用者アンケートから見えた「予約のしづらさ」
―― システム導入を検討するきっかけは何でしたか?
pokkeでは、毎年利用者アンケートを実施しています。
その中で多く寄せられていたのが、「予約が取りづらい」「電話がつながらない」という声でした。
予約開始時間に電話が集中する状況は以前から把握していましたが、アンケートを通じて利用者にとっても大きなストレスになっていることが改めて分かりました。
子育て支援施設として、必要なときに安心して利用できる環境を整えることはとても重要です。そこで港区とも協議を重ね、予約方法を見直すことになりました。
複雑な運用ルールにも対応、半年で実現したシステム導入
―― 導入のプロセスやスケジュールは、どのように進められたのでしょうか?
当施設のように複雑な年齢区分と運用ルールを持つ施設に合うシステムは、なかなか見つかりませんでした。そうした中で「メディカル革命」は細かな設定が可能で、私たちの運用にも対応できると感じましたし、同規模の他自治体施設にも導入実績があり、安心感がありました。
導入を進めるうえで心強かったのは、港区の担当の方が現場の状況をとても理解してくださっていたことです。行政では予算の関係から4月の稼働を目指すケースが多いのですが、今回は現場の状況を踏まえ、比較的業務負荷の少ない8月にシステム切替えを行い、一時保育の本格稼働は11月からというスケジュール調整ができ、現場としても無理のない形で準備を進めることができました。
導入プロジェクト自体は1月にスタートしてから約半年間。期間中は週1回の定例ミーティングを行い、「システムでできること」「現場の運用を調整した方がよい部分」を確認しながら進めていきました。

年齢もITスキルもさまざまな職員が、段階的にシステムに慣れていった
―― システム導入にあたり、職員の皆さんの反応はいかがでしたか?
最初は、正直なところ「本当に導入するのかな?」という雰囲気もあり、まだ実感が湧いていない職員も多かったと思います。実際に画面が出来上がる前の段階では、どこか遠い話のように感じていたのかもしれません。
そこでまずは、職員全員が利用者の立場になって会員登録画面をスマートフォンで操作してみることから始めました。誰が一番早くできるか、ちょっとしたゲームのような形で試してみたんです。すると「思ったより簡単かもしれない」と感じてもらえるようになり、少しずつ抵抗感が和らいでいきました。

当施設には20代から70代まで幅広い年代の職員がいます。いきなり複雑な操作を覚えてもらうのではなく、まずは触ってみる、慣れてきたら管理画面を使ってみるというように段階を踏みながら進めていったことで、自然とシステムへの理解が広がっていきました。
もちろん、10年以上続いてきた紙中心の業務フローを変えることには戸惑いもありました。長く使ってきた台帳は、並び順や表示の幅が少し変わるだけでも違和感を覚えるものです。新しい仕組みのメリットを理解してもらうことが、一番大変だったかもしれません。
それでも、導入プロジェクトのメンバーはとても前向きでした。各事業から集まったメンバーがそれぞれ役割を担いながら、「より良い施設運営につながる」という思いで取り組んでくれました。
一人ひとりが自分のタスクをしっかり進め、チームとして協力しながらプロジェクトを進めていく姿は、見ていてとても頼もしかったですね。
最後には、メンバー全員が「やりがいのあるプロジェクトだった」と感じてくれていたように思います。そうしたチームワークがあったからこそ、今回のシステム導入を無事に進めることができたのではないでしょうか。
最大の難関だった「一時保育のWEB予約」も、導入初日は事務室が静まりかえる意外な展開に
―― システム導入後、現場や利用者さんにはどのような変化がありましたか?
システム切替えは、現場の負担を考えながら2段階で進めました。
WEB予約がうまく動かなかったり、利用方法について多くの問い合わせが寄せられたりするのではないかと心配していたからです。
8月にはまず「子育てひろば」の入退館管理を二次元バーコードによるスマートチェックインに切り替え、運用を安定させてから、11月に最大の山場である「一時保育のWEB予約」を開始しました。

これまで一時保育の予約受付日は、朝から電話が鳴り続けるのが当たり前でした。そのため、WEB予約開始の日も同じように電話が集中するのではないかと身構えていたのですが――。
いざ運用を開始してみると、事務室は驚くほど静かでした。
ほとんど電話がかかってこなかったのです。
「大丈夫なのかな?」と思うくらい静かで、むしろ拍子抜けするほどでした。
保護者の皆さんが WEB予約を自然に使いこなしてくださっており、大きな混乱もなく、初日を終えたのでした。
利用者側がどんどん進んでいるので、施設がやっとそれに追いついたということを実感しましたね。今後も、「次のニーズは何かな?」「それに対して施設としてどう応えたら良いのかな?」という点を、職員と一緒に考えていきたいです。
電話対応150時間削減。支援に向き合う時間が増えた
―― 施設運営の面では、どのような変化がありましたか?
導入後、まず実感したのは電話対応の大幅な削減です。
これまで予約受付や変更・キャンセル対応の多くを電話で行っていたため、月に換算すると約150時間もの時間が電話対応に費やされていました。
WEB予約の導入によって、こうした予約業務の多くをシステムが担うようになり、事務職員の業務負担は大きく軽減されました。
月曜や連休明けに予約処理が集中し、残業して対応するようなこともほとんどなくなっています。
また、保護者にとっても、スマートフォンから24時間いつでも予約やキャンセル待ちができるようになったことで利便性が大きく向上しました。
WEBから簡単に利用登録ができるようになったこともあり、新規登録者は明らかに増えています。以前は港区内の方が中心でしたが、現在は区外から利用される方も増えてきました。
業務負担が軽減されたことで、職員には時間と心の余裕が生まれました。事務職員が保育の現場に入って子どもたちと関わったり、業務をサポートしたりと、施設全体で連携しながら支援を行える体制が整いつつあります。
本来大切にしたかった「保護者や子どもと向き合う時間」をしっかり確保できるようになったことが、私たちにとって一番大きな変化かもしれません。
子育て支援の現場から自治体へ伝えたいこと
―― 同じような施設を運営している自治体の方々に伝えたいことはありますか?
港区がこのような複合型の子育て支援施設を整備し、多様な家庭環境のニーズに応えていることは、全国の自治体にとっても非常に参考になる取り組みだと思っています。
当施設のように、複数の事業を一体的に運営している施設は全国的にもまだ多くありません。今回クラウド型の予約システムを導入したことで、現場の運営を支える仕組みを無理なく整えることができました。
独自にシステムを構築しようとするとコストが高額になりますし、その後使い続けていく中でアップグレードしようとした時に追加費用がかかるので、結局改善できずにそのまま放置され、利便性の低さを我慢しながら使用するという状況が発生しがちです。以前使用していたシステムがまさにそのような状況でした。
メディカル革命のようなクラウド型システムであれば、コストを低くおさえることができ、機能が継続的にアップデートされていく点も大きなメリットだと感じています。現場の声が反映されながらシステムが進化していくことで、子育て支援の環境もより良いものになっていくのではないでしょうか。
お母さんたちを取り巻く環境やニーズはどんどん変化していきます。
だからこそ私たちは、システムの力も活用しながら、保護者が一人で抱え込まずに「助けて」と言える場所であり続けたいと思っています。
こうした取り組みが広がり、子育て家庭を支える環境がさらに充実していくことを願っています。
【編集後記】
今回の取材では、20代から70代まで幅広い職員の皆さんがチームとなり、システム導入という変化を乗り越えてきた姿を伺うことができました。
子育て支援の仕事に誇りを持ち、地域の家庭を支えている現場の思いを強く感じる時間となりました。
私たちも、こうした現場の取り組みを支えるシステムづくりを通じて、子育て支援の環境向上に貢献できるよう取り組んでいきたいと思います。
素晴らしいお話をありがとうございました!
▼ みなと子育て応援プラザpokke WEBサイト
https://minato-pokke.com/