1日の来院数が150人を超え、対面や電話での対応に患者さんも職員もストレスを感じていたことからLINE/WEB予約の導入を検討しました
―― クリニックの特徴を教えてください。
当院は2020年に先輩ドクターのクリニックを引き継いで開院しました。
2面採光による明るい待合室や仕事や勉強もできるカウンタースペースを用意しており、少しでも快適に過ごしていただけるよう職員全員で患者さんをサポートしています。
宗像市は福岡市の東側に位置するベッドタウンで、古き良き街並みが残り、のどかで治安も良いので、患者さんも大らかな性格の方が多いように感じられます。とても良い環境に恵まれたクリニックですよ。
▼診療圏MAP(統計機能より)
―― 金曜日と土曜日が休診で、代わりに日曜日に診療をされているのですね。日曜日の診療のニーズは高いのでしょうか?
日曜日の診療は、お仕事や学校で平日の通院が難しい患者さんの利便性の向上を目的としています。
日曜日に診療するクリニックは少ないですし、LINE/WEBで予約ができることもあってか、より広い地域から患者さんが来られますね。
また、毎週火曜日は宗像市内の連携させていただいている病院で、私が当院の患者さんの手術を行っています。設備が整った病院で手術を受け、その後のリハビリは当院に通ってもらえるので、患者さんにはとても好評で、自分としても大変有り難いです。
―― 2020年のご開業後しばらくは電子カルテ付属の予約システムで予約を管理されていました。LINE/WEB予約を導入しようと思ったきっかけを教えてください。
開業したのがちょうど新型コロナウイルスの流行で緊急事態宣言が敷かれた直後の5月でしたから、感染対策のために予約制は必至でした。
ただ、電子カルテ付属の予約システムではWEB予約ができなかったので、すべて対面や電話で予約をお取りしていました。
患者さんからは電話が繋がりにくいとの声が多く、職員の間でも予約に関連する業務はかなりストレスになっていました。そこで、ネット予約ができる予約システムの導入の検討を始めたんです。
当院で使用しているMIU社の電子カルテDopanetと連携可能な予約システムのなかで、比較的自由度が高く、自分たちの予約制に合わせてモディファイできそうだという理由から、メディカル革命を選びました。
患者さんの利便性を考えると、LINE/WEB予約は大変優れていると感じたため、リハビリ予約も迷いなく開始しました
―― 初めてメディカル革命にお問い合わせいただいた2021年当時、すでに1日の来院数が150人を超えているとのお話でした。予約に関する対応がどれだけ多かったか想像できます。貴院では、リハビリの予約も診察のLINE/WEB予約と同じ時期にスタートされていますね。
はい。整形外科のリハビリ予約は単位制限など様々なルールがあり、システム化は難しいと思われています。
また、近隣ではLINEでの予約もリハビリのWEB予約もまだ例がありませんでした。
しかしながら、当院では患者さんのためにも、職員のためにも、もう待ったなしという状況でしたし、私自身も、患者さんの利便性を考えると、LINE/WEB予約は大変優れている、遅かれ早かれ将来的にWEB予約が主流になっていくだろうと思っていましたので、思い切ってリハビリ予約の開始に踏み切りました。
―― 職員の方の反対はなかったのですか?
反対はなかったですね。
ひっきりなしに鳴る電話の対応に苦慮していたことから、むしろ積極的に患者さんに活用してもらうための知恵を出し合い、職員全員でLINE/WEB予約を苦労しながらも進めてくれました。
―― 職員のみなさまがLINE/WEB予約を推進されたのですね。具体的にはどういった形で進められたのでしょうか?
患者さんお一人おひとりに丁寧に、
「LINEに登録してもらえると、予約の前日にお知らせが届きますよ。便利ですから登録してみませんか?」
と声をかけてくれました。
とくに高齢の患者さんには一緒に登録を行うなど、先回りしてお手伝いするように心がけていましたね。
今でもLINEでの予約を案内するときは、手作りの冊子を渡して説明をしています。
―― すばらしいですね。貴院の予約表に70歳、80歳を超える高齢の患者さんからもLINEの予約がたくさん入っているのは、職員の方の丁寧な対応があってこそだったのですね。
LINE/WEB予約を開始されて、患者さんの反応はいかがでしたでしょうか?
大変多くの患者さんから喜んでいただきました。
それまで電話が繋がらず予約を断念していた方もいらしたようで、診療時間外にも予約が取れるようになったのは良かったと思います。
リハビリ予約は患者さんの希望日時から、空きがあるPTの枠に自動振り分けされる設定も活用し、マッチングの向上につながりました
―― 多くの整形外科クリニック様で患者さん自身に予約してもらうのが難しいと考えているリハビリのWEB予約について、貴院ではどのように運用しているのでしょうか?
当院ではWEB予約受付ルールをしっかり決めて、それを予約サイトにも明記しています。
たとえば、再診の患者さんが診察とリハビリを同日に予約するときは、
・必ずリハビリのあとに診察という順番でお取りいただく
・リハビリの予約のあと診察の予約時間までは必ず1時間以上空けてお取りいただく
というルールを守っていただきます。
また、当院は患者さんを職員全員でケアする方針なので、リハビリにつく理学療法士を完全担当制にはしていません。希望のPTの枠が空いていなかったら、患者さんの希望日時を優先し、空いている理学療法士の予約が取れるようにしています。
患者さんの希望と空き枠のマッチングを職員が手作業で行うとなると、とてつもなく時間がかかりますが、メディカル革命では自動化できる仕組みがあり、患者さんの操作だけでマッチングがその場で完結するのは大きいです。
―― この担当自動振り分けの機能は貴院の理学療法士の稼働率アップにもつながっていますか?
そうですね。稼働率に関して良い効果があるように思われます。ただ、それぞれの理学療法士が情報を共有する必要性が増え、チームとしての一体感が高まっている印象です。そして、治療の知識や技術の向上に伴って、患者さんの治療に対する満足度が増えた結果、予約件数の増加に繋がっているように思います。
予約数増加に対応できているのも、リハビリのLINE/WEB予約導入の効果が大きいのではないでしょうか。この2年間で6,000人以上もの患者さんがLINEでの予約を活用されています。
また、リハビリの前日〜当日キャンセルがあるとリハビリ枠が空いたままになりがちですが、LINE/WEB予約があるおかげで、キャンセルが出た枠を別の患者さんが埋めてくれるようになっています。
空いた枠と患者さんとのマッチングがリアルタイムで可能になるのはLINE/WEB予約ならではだと思います。
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担当より折り返しさせていただきます。
整形外科での予約制、システム化による業務効率化と患者さんへのより丁寧な対応の両立が現状の最適解では?
―― LINE/WEB予約を導入して、運用が順調に回り始めたときに、一番大きかった業務上の変化はどのような部分でしょうか?
予約に関する電話が減りました。また、予約業務に関する職員の労力もかなり減ったと思います。
ただ、それですべてが解決したわけではありません。
整形外科特有の課題が存在し、整形外科クリニックの予約管理のあり方はまだまだ模索中です。
―― 貴院の予約表を見ると、予約がきっしりですね。予約が埋まってしまっているがゆえの対応の難しさがあるのではないでしょうか?
整形外科は継続して治療する必要がある患者さんが多く、症状が良くなるまでに時間がかかる患者さんも多いので、治るまで診るという当院の治療方針を理解して、途中で脱落することなくきちんと通っていただけるのは大変うれしいことです。予約制が患者さんの治療へのアドヒアランスの一助になっていると思います。
とはいえ、1日に受け入れできる人数や時間にはやはり限界があります。
整形外科が他の診療科と異なるところは、強い痛みや急なケガで早急な処置が必要になるケースが比較的多いことです。
当院では、当日急きょお電話いただいた患者さんに対して「予約していないから」とか「予約でいっぱいだから」と、頭ごなしに予約制を理由に受け入れができないとは決して言わないようにしています。
まずは症状を聞いて、当日中に診ないといけない緊急性のある患者さんは診るようにしていますし、そうでない場合は患者さんと話し合って別日で予約をお取りします。どうしても当日、当院で診ることができない場合は他の病院を情報提供も含めてご紹介するようにしています。
ここは受付事務職員が精一杯丁寧に対応をしてくれていますが、急患を受け入れると、予約をとっていただいている患者さんには、時としてある程度の待ち時間が生じてしまいます。待ち時間を減らすため、職員の人数を多く配置し、診療の効率化にも積極的に取り組んでいます。しかしながら、大変心苦しいことですが、患者さんに待ち時間を許容していただくことが必要な場合が多々あります。当院の予約制の運用は患者さんとの信頼関係の上に成り立っているものです。
―― 待ち時間のストレスを取り除くために予約環境を整えるという目的と並行して、急な症状で当日受診の相談があった場合には予約外であっても受け入れるというのは、医療機関としては矛盾ではなく、あるべき姿ということですね。
はい、この考えに至るまでは、患者さんも職員もストレスを感じていたので、「予約制だからうまくいっていないんじゃないか」と悩んだこともあります。
でも、職員全員が少しでも良くしていこう、患者さんをお待たせしないようにしようと頑張っていますし、患者さんに丁寧に対応したり、LINEの登録方法を説明して患者さん自らが使えるようにしたり、日々改善を続けてきました。
そうして得られたのが今の予約の形ですね。
予約時間を厳密に守るため、診察が必要な患者さんを受け入れない「予約至上主義」では、整形外科の多くの患者さんのニーズは満たせないと思います。かといって、「予約なし」ですべての患者さんを受け入れるシステムでは、患者さんのニーズがクリニックのキャパシティを超える場合、医師やスタッフへ過負荷になり、持続困難です。
「予約なし」と謳いながら、“ここまで”という時点で患者さんの受け入れに制限をかけるのも、どうかと思う。それならいっそ、患者さんにある程度の待ち時間は許容していただくけれども、我々のできる医療の最大限を提供します、という方が、地域に貢献できるのではないか。少なくとも、それが自分の目指す医療の形に合ってるみたいです。
―― なるほど。患者さんもあらかじめ説明してもらえれば納得されると思いますし、自分が急患として診てもらった経験があれば、よりリアルに状況を理解できると思います。
貴院の職員の方の対応もすばらしいですね。職場の雰囲気はいかがでしょうか?
とても良い雰囲気ですよ。コミュニケーションも密にとれています。
各部署にリーダーがいて、月に1回は医療安全会議というリーダーの会議を開催しています。また、医師、看護師、リハビリスタッフによるカンファレンスで、毎日患者さんの情報を共有しています。運営についても職員と話し合いながら決めています。全員、責任感に溢れる職員で、患者さん想いです。
―― 最後になりますが、今後どのようなクリニックを目指しているか教えてください。
予約をすると待ち時間がないだろうと期待される患者さんは多いですが、先にも述べたように、当日中に診ないといけない緊急性のある患者さんはたくさんいらっしゃいます。
どうしても待ち時間が生じてしまうところを、それでも患者さんがまた来てくれるのは、クリニックと患者さんの信頼関係ができているからだと思います。
私自身も、患者さんと信頼関係を作り、一緒に話し合いながら治療をしていくところにやり甲斐を感じていますし、職員もそれは同じです。
今後も職員一同、気持ちを1つにして患者さんとの信頼関係をより深めていき、できるだけ待ち時間が少ないクリニック作りを目指していきたいと思います。
そして、患者さんには快く通院していただけるように院内環境や予約環境をさらに良くしていきたいです。
1日の来院患者さんの数が多く、急患も多い整形外科クリニックでは根本的な忙しさを解決するのは難しいですし、完全なシステム化も難しいですが、日々の患者さんへの声掛けや丁寧な対応が待ち時間に対するストレスを軽減しているというお話、大変印象に残りました。
メディカル革命が患者さんや職員の方のストレスを和らげるためにできることはまだまだありそうだと感じました。
お忙しい日々かと思いますが、また全国の整形外科クリニック様の予約環境の発展のためにアドバイスをいただけたらと思います。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
▼ さきむら整形外科リハビリクリニック様 WEBサイト
https://sakimura.jp/