電子カルテは、クリニックの業務効率を大幅に改善し、医療の質を向上させるツールです。しかし、市場にはさまざまなシステムが存在し、どれが自院に最適なのか見極めるのは容易ではありません。
本記事では、電子カルテの基本知識や選び方のポイントを解説し、主要なシステムも紹介します。自院に適した電子カルテを選定し、効果的な診療体制を実現するための情報をお届けします。
電子カルテとは?
電子カルテの導入を検討する際は、基本的な概念とメリットを理解することが大切です。まず初めに電子カルテの基本的な情報や紙カルテとの違い、メリット・デメリットについて解説します。
1-1 電子カルテの基礎知識
電子カルテは、患者の診療記録をデジタル化し、診療効率と医療サービスの質を向上させるシステムです。診療履歴や処方情報、検査結果、アレルギー情報などのデータ管理を通じて、迅速な情報検索と共有が可能です。
また、診療計画の作成・更新やデータの集計・分析機能も備えており、診療のスピードと正確さが向上します。
紙カルテと異なり、デジタル化された情報を瞬時に検索でき、スタッフ間での情報共有がスムーズになるため、患者対応も迅速かつ的確に行うことができます。
1-2 電子カルテのメリット・デメリット
1-2-1 業務効率化による診療時間の短縮
電子カルテは、診療記録の作成や過去の患者データの検索が迅速に行えるため、診療を大幅に効率化します。手書きでの記入や紙ベースの管理にかかる時間を削減し、記録漏れや入力ミスを防ぐことで診療の正確性も向上します。さらに、診療中に必要な情報がすぐに引き出せるため、医師やスタッフの意思決定が迅速になり、待ち時間の短縮にもつながります。これにより、診療の回転率が上がり、より多くの患者に質の高い医療を提供できるようになります。
1-2-2 情報共有とデータ管理の向上
電子カルテは、データを一元管理するため、医療チーム内での情報共有が容易になります。これにより、患者の診療記録や検査結果、処方履歴をリアルタイムで確認でき、スタッフ間での連携が強化されます。また、クラウド型の電子カルテを利用することで、離れた場所にいるスタッフとも迅速な情報共有が可能です。さらに、データの一貫性を保つことで、重複検査の削減や医療ミスの防止にもつながり、医療サービスの質を向上させることができます。
1-2-3 コストや運用面での課題も
電子カルテの導入には、システム購入や設定、スタッフのトレーニングにかかる初期コストやランニングコストが必要です。また、システムの操作に不慣れなスタッフには、適切な教育とサポートが求められます。
電子カルテを選ぶ際のポイント
電子カルテを導入する際には、クリニックの規模や診療科目、操作性、コストなど、さまざまな要素を考慮する必要があります。そのポイントを解説します。
2-1 規模と診療科目に合ったシステムを選ぶ
電子カルテ導入の際には、クリニックの規模や診療科目に合わせたシステムを選ぶことが大切です。小規模クリニックの場合、簡易でコストを抑えたシステムが求められ、主に一般診療や慢性疾患管理に対応する基本機能が重視されます。一方、大規模クリニックや専門的な診療科目を扱う医療施設では、複雑な診療プロセスや多様な診療データに対応できる、高度な機能を持つシステムが必要です。
例えば、内科や小児科では、継続的な経過観察や多様なデータ管理が求められるため、データの蓄積や解析機能が充実したシステムが適しています。また、皮膚科や耳鼻科など画像診断を多用する科目では、画像データの迅速な取り込みや共有が可能なシステムが効果的です。
2-2 使いやすさ
電子カルテを使いこなすには操作性とユーザビリティがポイントになります。直感的に操作できるインターフェースを持つシステムは、スタッフのトレーニング時間を短縮し、日常業務へのスムーズな移行を実現します。
また、簡潔でわかりやすい画面設計や、ワンクリックでアクセスできるといった操作性の高さは、作業効率を大幅に向上させます。操作負担が少ないシステムを選ぶことで、スタッフのストレス軽減や業務ミスの防止につながり、患者対応の質も向上します。
2-3 クラウド型とオンプレミス型
電子カルテにはクラウド型とオンプレミス型の2種類があります。それぞれの違いを解説します。
2-3-1 クラウド型電子カルテの特徴
クラウド型電子カルテは、インターネット経由でデータを管理するため、初期導入コストが低く、システムのアップデートやメンテナンスも自動で行われます。また、どこからでもアクセス可能なため、リモート診療にも対応しやすいです。ただし、インターネット接続に依存するため、通信障害時のリスクや、データの外部流出などのセキュリティ対策が必要です。
2-3-2 オンプレミス型電子カルテの特徴
オンプレミス型電子カルテは、自院内のサーバーでデータを管理するため、セキュリティが強固です。インターネット接続に依存せず、外部リスクを低減できるのがメリットです。しかし、サーバーの設置・設定が必要になるため初期導入コストが高く、サーバーやシステムの維持管理に手間がかかります。
2-4 レセコンとの連携機能
電子カルテを選ぶ際には、レセプトコンピューター(レセコン)との連携機能も重要です。カルテとレセコンが連携することで、診療情報を基にレセプトの自動作成が可能になります。これにより、事務作業の負担を大幅に軽減し、入力ミスや情報の重複を防止できます。
また、診療内容と請求情報の一貫性が保たれ、保険者からの返戻を減らすことにもつながります。特に複数の診療科を持つクリニックや、診療内容が複雑な医療機関では、レセコンとのスムーズな連携が診療の効率化に大きく貢献します。さらに、連携により患者の待ち時間を短縮し、迅速な会計処理が可能となるため、患者満足度の向上にも寄与します。
レセコンとの連携機能を持つ電子カルテを選ぶことで、クリニック運営がより効率的で正確なものになります。
2-5 セキュリティ対策とデータ保護
電子カルテの導入に際して、セキュリティ対策とデータ保護は極めて重要です。患者さんの個人情報を扱うため、データの暗号化やアクセス制限、多要素認証の導入が必須です。
特にクラウド型では、インターネット経由でデータを管理するため、セキュリティリスクが高く、外部からの不正アクセス対策や定期的なセキュリティ更新が不可欠です。また、オンプレミス型でも内部不正の防止策やバックアップの確保が必要です。
2-6 サポート体制とアフターサービス
電子カルテ導入後のサポート体制やアフターサービスは、クリニック運営の安定化に欠かせません。システムトラブルや操作に不安を感じた際、迅速に対応してくれるサポートがあると、業務の 停止を最小限に抑えられます。
また、導入後の操作トレーニングやマニュアル提供、アップデート情報の共有も重要です。システム変更時の技術サポートや、カスタマイズ対応の柔軟さも評価しておきたいポイントです。サポート体制が整っているシステムは、スタッフのストレス軽減や業務効率向上に直結し、電子カルテの長期的な利用価値が高まります。
2-7 電子カルテの導入費用とランニングコスト
電子カルテを導入する前に、初期費用とランニングコストのバランスを検討することが大切です。初期費用にはシステム購入、設置、スタッフ研修などが含まれます。
クラウド型は低コストで始められる一方、月額料金が発生します。オンプレミス型は初期投資が高くなるものの、長期的にはランニングコストを抑えやすいという特徴があります。ランニングコストには、システムの保守管理費、定期アップデート費用が含まれ、クリニックの規模や使用状況により異なります。
電子カルテ導入後のコストパフォーマンスを最大化するためには、システムの導入目的や予算に合わせた費用計画を立てておくことが重要です。
また、無料で提供されている電子カルテも存在しますが、機能やセキュリティ、サポートの面で制限があり、中長期的な視点でみるとデメリットが多いといえます。
メーカーによる違いは?主要な電子カルテシステムの比較
ここでは、主な電子カルテシステムを紹介します。各システムのメリットを理解し、自院に最適なサービスを見つけましょう。
3-1 MRNシリーズ/MAPs for CLINIC
■主な機能と特徴
クリニックの規模に応じた柔軟なカスタマイズが可能。診療科目別の機能拡張や、データ連携の柔軟性に優れ、効率的な診療を実現する。
■価格とサポート体制
初期費用や月額料金は比較的安価。導入後のサポート体制も充実しており、操作方法やトラブル対応に対して、迅速かつ丁寧なサービスを提供している。
■ユーザーの評価と口コミ
「使い勝手がよく、コストパフォーマンスが良い」「サポートが丁寧」との声が寄せられている。
3-2 エムスリーデジカル
■主な機能と特徴
モバイルファースト設計でスマホ・タブレット対応が強み。リモートアクセスやクラウド機能により、場所を問わず柔軟に利用できる。
■価格とサポート体制
導入費用が低く、小規模クリニック向けに適した料金プラン。オンラインでのサポートやトレーニングも充実し、迅速な対応が可能。
■ユーザーの評価と口コミ
「外出先でもアクセスしやすい」「操作が簡単でスタッフにも好評」といった声が聞かれる。
3-3 Medicomシリーズ
■主な機能と特徴
多機能で診療記録、予約、請求管理を一元化。高い拡張性があり、他システムとの連携も容易で、効率的な診療フローを実現する。
■価格とサポート体制
初期費用が抑えられ、ランニングコストも低い。サポートは電話やオンラインで迅速に対応し、操作に関する研修も充実している。
■ユーザーの評価と口コミ
「多機能でありながら操作がわかりやすい」「サポートが充実している」との評価が多い。
3-4 HOPEシリーズ
■主な機能と特徴
富士通の信頼性と技術力を基に、多機能かつ高い拡張性が特徴。診療科目に応じたカスタマイズが可能で、幅広い医療ニーズに対応している。
■価格とサポート体制
初期導入コストは高めだが、長期的な運用におけるサポートが充実している。専任担当者によるカスタマイズ支援やトラブル対応もしてくれる。
■ユーザーの評価と口コミ
「安心して使える」「機能が豊富で満足」といった声が目立つ。
3-5 CLINICS
■主な機能と特徴
オンライン診療機能や予約管理機能に特化し、患者とのコミュニケーションを強化。リモート診療対応で、幅広い診療スタイルをサポートしている。
■価格とサポート体制
オンライン診療に特化した料金体系で、サポートはチャットや電話に対応。導入初期のトレーニングやサポートも充実している。
■ユーザーの評価と口コミ
「オンライン診療が便利」「予約管理がしやすい」との声が多い。
電子カルテ×予約システムの連携でさまざまなお悩みを解決
「受付をしたら診察室の電子カルテに情報を反映したい」「電話応対が多すぎて業務が回らない…」「電子カルテと予約台帳の2重入力に手間が…」。こんなお悩みには電子カルテと予約システムとの連携が効果的です。
「メディカル革命 byGMO」は医療特化型の予約システム。電子カルテ×予約システムの連携で、クリニックが抱えるさまざまな課題を解決します。
4-1 メディカル革命 byGMOの主な機能
メディカル革命は50機種以上の電子カルテとの連携実績があります。受付業務の効率化、患者さんの待ち時間の削減を実現します。
※メーカーによって連携項目が異なります
4-1-1 頭書き連携
電子カルテに登録した患者情報を予約システム(メディカル革命)に自動で連携させることが可能です。この連携をすることで患者情報を予約システムに入力する必要がありません。
※患者統合は必要です
4-1-2 チェックイン連携
メディカル革命で来院処理した患者情報を電子カルテに飛ばすことができます。患者さんの来院情報を電子カルテに入力する必要がありません。
4-1-3 事前質問情報連携
予約の際、事前に質問項目に記入してもらうことで、質問内容を自動で電子カルテに連携させることができます。これにより、院内での問診入力時間や内容確認時間を大幅に削減できます。
4-1-4 新患連携
新患の患者さんが、WEB予約を行う際に入力した名前、生年月日などの情報を電子カルテに自動連携できます。患者さんが来院した際の電子カルテへの情報入力が不要になります。
4-1-5 料金連携(キャッシュレス化)
電子カルテ、レセコンから診療報酬の金額を自動でメディカル革命へ連携することができます。当社の決済システムを利用することにより会計業務を減らすことができます。
4-2 だから安心!メディカル革命の特徴
4-2-1 特徴1:操作性の高さ
カレンダー形式で、患者さんの予約が直感的にわかりやすい上、表示速度も速いため、視認性が高く使いやすいと好評です。また、Googleカレンダーのように、予約レコードをドラッグアンドドロップできます。
4-2-2 特徴2:拡張性の高さ
メディカル革命は多機能かつ、拡張性の高い予約システムです。例えば、開業時の設定と、開業後1年経過時の予約設定は異なることもありますが、状況に応じて設定変更や、機能拡張が可能です。
4-2-3 特徴3:セキュリティへのこだわり
当社サービスを安心してご利用していただくために、常にセキュリティ強化に取り組んでいます。セキュリティポリシーは評価・見直しを繰り返し、対策の質を向上させています。
具体的な対策として、24時間365日体制のサーバ監視体制や不正アクセスを徹底ブロック、情報公開、製品の安心機能などを行っています。
自院に最適な電子カルテを選んで効率化を実現しよう
電子カルテは、患者の診療記録をデジタル化して管理するシステムで、現代のクリニックには欠かせないツールです。選び方のポイントなどを参考に、自院に最適なシステムを選定しましょう。
さらに電子カルテと予約システムを連携すると、業務効率化と診療の質向上を実現可能です。
「メディカル革命 byGMO」は医療特化型の予約システム。50機種以上の電子カルテとの連携実績があり、クリニックが抱えるさまざまな課題を解決します。電子カルテ導入の際にはメディカル革命も、ぜひご検討ください。