こんにちは。GMOリザーブプラスです。
クリニックの成長に伴い「非常勤医師を招いて2診体制にしたものの、予約枠が思ったように埋まらない」というご相談は、弊社でもよくいただきます。
原因の多くは、医療リソースと予約枠の設計が最適化されていない点にあるのですが、そもそも複雑な予約に対応していない一般的な予約システムでは、システム側に合わせて現場の運用を無理やり変更しなければならないといった問題も生じてしまうようです(※こうした医療現場の複雑なニーズに合わせた柔軟な予約設計や自動化は、「メディカル革命」がまさに得意とするところでもあります)。
今回は、少し専門的な話になりますが、診療効率と患者様の利便性を両立させる「予約枠の設計」について解説してみたいと思います。
1.2診体制で予約枠が埋まらない原因
患者数の増加に伴い、非常勤の医師を招いて「2診体制(複数の診察室で同時に診察を行う体制)」へ移行するクリニックは少なくありません。しかし、ただ単に枠を2倍に増やしただけでは予約が均等に埋まらないという課題が生じることがあります。
その理由の一つとして、予約システム側が持つ構造的な仕様が関係しています。
一般的な予約システムの多くは、医師のスケジュールや診察枠を完全に独立させて管理・表示する仕組みになっています。
そのため、患者さんの予約画面上で「A先生(院長)の診察」「B先生(非常勤)の診察」と選択肢が明確に分かれてしまい、患者さんは「いつもの院長先生に診てもらいたい」と考え、A先生の枠だけに予約が集中してしまいます。
反対に、風邪などの症状で初めて受診する患者さんにとっては、その時しっかり診察してもらうことが本来の目的であり、どの医師に担当してもらうかは重要ではありません。
しかし、システム上で医師名やそれぞれの診察メニューを個別に選ばなければならない仕様になっていると、「どちらを選べばいいのだろう」と患者さんが迷ってしまいます。
その結果、A先生の枠はどの時間帯も満席で予約不可なのに、B先生の枠には空き枠が残るという「予約の偏り」が生じ、クリニック全体の診療稼働率が下がってしまう事態が起きてしまうのです。
2.グループ自動振り分け機能による課題解決
この偏りを解消するために効果的なのが、複数の医師の枠を1つの「共通枠」として提示し、システム側で空き状況に応じて割り振る「グループ自動振り分け」の仕組みです。
例えば、患者さん向けの予約画面には
「診察 9:00 ○」
というシンプルな時間帯のみを表示します。
患者さんは医師を選ぶ必要がなく、「希望の時間に受診できるか」だけを見てスムーズに予約を完了できます。
裏側ではシステムが「患者さんが希望している時間のA先生の枠が埋まったら、自動的にB先生の枠へ案内する」といったルールで自動割り当てを行うため、手動で枠を調整する手間もかかりません(こうした自動振り分けは、弊社の「メディカル革命」では標準でご利用いただける機能の一つです)。
患者さんの迷いをなくしつつ、クリニック全体の診療リソースを無駄なく100%近くまで活用できるようになります。
3.「指名なし」と「担当指定」を柔軟に併用
また、医療リソースを最適に配分していく上で、医療機関における予約には非常に独特な要件が存在します。それは、「すべての医師が対応可能な一般診察」と「特定の医師のみが対応する専門外来」が混在しているという点です。
専門外来や継続的な治療においては、「特定の疾患に関する専門的な知見や治療経過の管理を同じ医師が一貫して行うべき」という医療上の理由に加え、「前回の担当医に引き続いて診てもらいたい」という患者さんのニーズが当然のように存在します。
そのため、予約システムには「指名なし予約」と「担当指定予約」を柔軟に共存させる設計が求められます。
具体的な運用例としては、風邪や軽度の体調不良など手軽さを優先したい初診時には「指名なし」で空き枠へ自動割り当てを行い、専門的な精密検査や継続的な慢性疾患管理が必要な再診では「担当医指定」で予約を受ける、といったルール設定が挙げられます。
このように患者さんのステータスや受診目的に応じて最適なルートを使い分けることが、満足度向上と効率化の大きな鍵となります。
4.1つの予約枠に複数の診療メニューを紐づける「ダイナミック・マッピング」
そして、クリニック等では、1人の医師が「一般診察」「専門外来」「予防接種・健康診断」など、複数の診療に対応していることがほとんどです。こうした複合的な役割を担う中での予約管理には、さらなる工夫が求められます。
なぜなら、医療機関においては、時間割りをあらかじめ固定してしまうと大きな機会損失につながりかねないからです。
たとえば、一般的な従来型のシステムで
「10:00~10:30は予防接種専用枠」
「10:30~11:00は専門外来専用枠」
のように固定的な時間割りを行うと、予防接種の希望者が来なかった場合にその時間がそのまま無駄な空き時間になってしまいます。
また、時間割りを固定していなくても、1つの時間枠に対して複数の診療メニューを同時に紐づけられない予約システムの場合、結局は医師が同じ時間に対応できるにもかかわらず、メニューごとに枠を分けて管理しなければならず、現場の運用に非効率が生まれてしまいます。
そこで有効なのが、1つの時間枠に複数の診療メニューを紐づけておき、患者さんが希望のメニューを選択して予約を入れていくと、1人の医師のスケジュール表が自動的に組み立てられていく「ダイナミック・マッピング(動的枠予約)」です。
診療内容と対応可能な医師の組み合わせに応じて柔軟に枠が消化されるため、診療体制に合わせた無駄のない予約管理が実現します。
例えば、ある時間枠に対して「一般診察」「専門外来」「予防接種」のいずれにも対応できるよう設定しておきます。
「予防接種」の予約が入ると、その予約枠は自動的に確定し、同時に他メニューの残枠数が調整されます。あらかじめ枠を細分化して固定する必要がないため、日ごとの患者ニーズの変動に合わせた柔軟な消化が可能になります。
5.「指名なしの自動振り分け」で予約枠を最大化:理学療法士や美容皮膚科の施術機器への応用
ここまで医師の診察を例にお伝えしてきましたが、こうした「指名なしの自動振り分け」や「柔軟なアサイン機能」は、他の医療スタッフによる予約管理や医療機器の運用においても大きな効果を発揮します。
例えば整形外科のリハビリでは、「特定の理学療法士(PT)による指導を受けたい患者さん」と、「通院できる日時が限られるため、担当者は選ばずにとにかく予約を確保したい患者さん」の2パターンの要望が存在することが多いと思います。
ここで前述しました「指名あり」と「時間優先の自動アサイン」をバランスよく組み合わせることで、スタッフ個人のスケジュール負荷を平準化し、チーム全体としての空き時間を限りなくゼロに近づけることができます。
これは理学療法士だけでなく、看護師による各種処置や歯科衛生士による予防・ケア管理など、専門職がチームで対応する現場全般に応用可能です。
さらに、美容皮膚科などで使用される施術機器のように「移動可能で、空いている処置室や診察室があれば稼働できる」という医療リソースの管理にも非常に効果的です。
人と設備の両面で「指名なし自動振り分け」を活用することで、クリニック全体のリソース稼働率と予約枠の最大化を実現できます。
6.複雑な医療現場のニーズに応える予約システムの条件
ここまで見てきたように、一般的なシンプルな予約システムでは、時間ごとに一定の定員を設定したり、1つの予約枠に1つのメニューのみを紐づけするような「均一な枠管理」しか行えないケースがほとんどです。
しかし医療現場では、疾患の種類や初診・再診の別、担当医・専門スタッフの出勤状況など、多様な条件が複雑に絡み合います。
だからこそ、「指名・非指名の柔軟な制御」や「診療メニューに応じた枠の動的決定」といった医療特有の運用ルールをシステム上で正確に再現できるかが、限られた医療リソースを最大化するうえで重要な分岐点となります。
まとめ:自院の診療体制に合った柔軟な予約設計を
いかがでしたでしょうか?
予約システム選定のポイントは、単に「Webから予約を受け付けられるか」だけではなく、「将来の診療体制の変化に合わせてどこまで柔軟に設計・運用できるか」です。
2診体制への移行や診療メニューの拡張など、クリニックが成長・変化していく過程では、従来の画一的な予約枠設計では対応しきれない課題が必ず生じます。
本記事が、自院の診療フローや患者ニーズに寄り添った柔軟な予約システムを検討・活用される際の一助となれば幸いです。