医師としての原点と全人的な医療への想い
―― はじめに、森田小児科医院の歩みと森田先生のご経歴についてお聞かせください。
当院は1989年に私の父が開院しました。私が小学6年生の時のことで、父が医師として地域医療に励む姿を見て育ったことが潜在意識に強く残っていたのだと思います。
ただ、最初から医師を目指していたわけではありません。現役時代は工学部に進学し、有機化学を学んでいました。しかし、一人暮らしをしている時に私自身が病気になったことをきっかけに、「自分の人生、本当にこれでいいのか」と強く考えるようになったんです。
そこで、「やはり人と直接関わり、役に立つ仕事がしたい」と一念発起し、受験勉強をやり直して医学部に入学しました。
医師には研究の道もありますが、私は目の前の人と直接向き合う「臨床」を選びました。
そして、特定の臓器や症状だけを見るのではなく、患者さんを一人の人として総合的に診る「全人的な医療」を提供したい。どんな病気にもまず対応できる医師でありたい、という思いから、最終的に小児科を選びました。
現在は盛岡の地で地域に根ざした小児科医療を受け継ぎながら、日々子どもたちとそのご家族に向き合っています。
「SNSもLINEも一切やらない」院長が、お母さんたちのために直感で選んだLINEでの予約
―― 長年使っていた予約システムからLINEでの予約へ切り替えられたきっかけは何だったのでしょうか?
以前は他社の予約システムを10年以上使い続けていました。予約のたびにメールアドレスなどを入力する必要があったのですが、「予約システムとはそういうもの」だと思っていたので、当時はそれを不便だとすら感じていませんでした。つまり、課題がなかったのではなく、課題だと認識していなかったんですよね。

そんな中、同じ盛岡市の内科の先生が「LINEを使った予約」を導入していると、スタッフの間で話題になりました。
私は当時、SNSもLINEも一切やらない人間だったのですが、家族や世間のお母さんたちがLINEを当たり前のように使っている。スタッフからも便利だと聞いて、「面白そうだな。お母さんたちにも喜んでもらえそうだ」と直感的に感じたのが最初です。
その後、そのLINEでの予約ができるシステムがGMOのメディカル革命だと分かり、すぐにインターネットで検索して問い合わせました。
機能を細かく比較して選んだというより、「これならお母さんたちに簡単に使ってもらえそう」という感覚が大きかったですね。そこに一番の魅力を感じました。
目の前の症状を治療する「点」の医療から、地域の家庭に寄り添い続ける「線」の医療へ
―― メディカル革命の導入からちょうど2年が経ちましたが、先生ご自身やクリニックに起きた最も大きな変化は何でしょうか?
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一番実感しているのは、当院にお子さんを連れてくるお母さんたちと「継続してつながっている」という感覚を持てるようになったことです。
以前は、診療が終われば、そこで患者さんとの接点もいったん途切れる。どこか一方通行で「その場限りの関係」だったように思います。
それが、メディカル革命とLINEを通じて、診療の場を離れても患者さんとつながれるようになり、私自身の医療に対する考え方も少しずつ変わっていきました。
小児科医が提供すべき本当の価値は、単に「重症か軽症か」を見極め、目の前の症状を治療することだけではないのではないかと思うようになったんです。
病気が心配で不安を抱えてお子さんを連れてくる親御さんに、「困ったときはいつでも私たちがいますよ」という継続的な安心感を届けること。それこそが、地域の小児科に求められている大切な役割なのではないかと感じています。
医療を、目の前の診療だけで終わる「点」から、患者さんと信頼でつながり続ける「線」へ。
そう考えると、メディカル革命は単なる予約受付のシステムではなく、患者さんとの接点を保ち、信頼関係を育てていくための「コミュニケーションインフラ」なのだと思います。
そして、この変化は患者さんとの関係だけにとどまりませんでした。
現在では、お母さんたちがLINEからスムーズに予約や事前登録を済ませてから来院されるため、電話対応による窓口の混雑やスタッフが焦って対応する場面も少なくなりました。スタッフに余裕が生まれると、自然と表情も柔らかくなります。
院内の雰囲気も温かくなり、その空気が患者さんにも伝わっていく。患者さんとのつながりが深まり、院内にもゆとりが生まれる。そんな好循環が、当院の中で生まれていることを実感しています。
「お母さんが笑顔でなければ、子どもは元気にならない」─ 子育てに悩むお母さんたちへLINEで届ける温かい情報
―― 先生は、LINEでの一斉配信メッセージをすべてご自身で書かれていると伺いました。配信に込める想いをお聞かせください。
はい。お母さんたちにお届けするメッセージはすべて私自身が頭をひねって書いています。親しみを持ってもらえるように、かわいいアイコンも多用していますよ(笑)。
内容は、感染症の流行情報や予防接種のお知らせだけではありません。小児科をやっていて強く感じるのは、子どもが元気でいるためには、まずお母さんが元気で、笑顔でいなければならないということです。
特に未就学児を持つお母さんは、日々の生活の中で社会的にも孤立しがちです。周りに頼れる人がおらず、一人で不安を抱えている方も少なくありません。
そんなお母さんたちに向けて、当院のLINEを通じて「地域に生活支援を行っているNPOやフードバンクがある」といった情報もお届けしています。
「もしかしたら必要としている方がいるかもしれない」と思った情報は、医療に限らず紹介するようにしています。少しでもお母さんの心が軽くなればいい。そう思って発信しています。
また、診察室で「鼻うがい」を怖がる親子のために、自分が実際に鼻うがいをしている動画をLINEで配信したこともあります。
来院されたお母さんから「先生の動画見ましたよ!」「面白かったです!」と大きな反響があり、配布した無料サンプルもあっという間になくなりました。
実際に習慣化につながらなかったとしても、それでいいと思っています。来院したときの和やかな会話のきっかけになったり、子どもたちがクリニックに来ることを少しでも楽しいと思ってくれたりする。それだけでも十分意味があると思うんです。
LINEで届けるから予約につながる。経鼻インフルエンザワクチンが追加分まで即日完売
―― 小児科クリニックの運営において、ワクチン接種の予約や管理のしやすさは重要な要素です。そのような中、経鼻インフルエンザワクチン(フルミスト)が貴院では追加で3回も入荷し、その日のうちに予約で埋まったそうですね。
ちょうど2年ほど前(2024年)から接種可能になった鼻にスプレーするタイプのインフルエンザワクチン「フルミスト」の導入当初は、近隣のクリニックでも対応が分かれていたように思います。
新しいワクチンということもあり、副反応などを心配して慎重に導入される先生方も多く、ホームページでの告知や窓口・電話での案内にとどまっているケースもありました。その結果、せっかく仕入れた高額なワクチンが余ってしまったという話も耳にしました。
一方で、私は「痛みを伴わないスプレー型はお子さんやお母さんたちにとって非常に良い選択肢になる」と考えていました。
そこで、LINEでの一斉配信を使って対象年齢の患者さんへ積極的に案内しました。ホームページに掲載するだけの場合と違って、LINEなら必要な方へ直接タイムリーに情報を届けることができます。
実際に予約開始をお知らせすると、予想を超える勢いであっという間に予約が埋まりました。その後も「残り○本です」といった情報をタイムリーにLINEでお知らせしたところ、追加で3回仕入れた分もすべて予約が埋まりました。
LINEを活用して積極的に情報を届けることで、患者さんに新しい選択肢を知っていただけただけでなく、在庫ロスを防ぐという経営面でのメリットも実感しています。


少子化の時代にクリニックの「次の一手」を考える
―― 少子化によって小児科を取り巻く環境が厳しくなる中、トラベルワクチン外来の拡充や経営分析ツール「AI-Board」の導入など、積極的に新しい取り組みをされていますね。
盛岡市でも少子高齢化が進み、地域の小児科クリニックが閉院していくという厳しい状況があります。
そうした中で、クリニックを長く続け、地域の医療を守っていくためには、これまでと同じことを続けるだけではなく、その時々の状況に合わせてできることを考えていく必要があると思っています。
私はもともと「これはどうだろう?」と思ったことがあれば、まずやってみたいタイプなんです。同じことを繰り返しているだけでは面白くありませんし、可能性があると思ったことには実際に取り組んでみるようにしています。
その一つが海外渡航者向けの「トラベルワクチン外来」です。
2018年頃から少しずつ始めていたのですが、トラベルワクチンは患者さん一人ひとりで必要なワクチンや接種スケジュールが異なり、専門的な知識をもとにそれぞれの渡航先や状況に合わせた完全なオーダーメイドの提案が必要になります。
以前はこれをExcelで管理していたため、一人の患者さんのスケジュールを組むだけで3時間ほどかかることがありました。専用のシステムを導入したことで、この作業がわずか5分程度まで短縮されました。
やりたいことがあっても、日々の業務に追われていてはなかなか形にできません。業務を仕組み化して負担を減らすことで、トラベルワクチンを自費診療の一つの柱として少しずつ育てていくことができました。
一方で、コロナ禍が落ち着いた後にはクリニックの収入が急激に減少する時期もありました。そのとき「これからクリニックをどうしていけばいいのか」を改めて考えるようになったんです。
そこで、経営状況を客観的に見ながら、今後できることを一緒に考えてもらえたらと思い、導入したのがAI-Boardです。
―― 「AI-Board」を導入して良かった点を教えてください。
一番良かったのは、クリニックのことを一緒に考えてくれる相談相手ができたことですね。
トラベルワクチン外来についても、いろいろと相談しています。例えば、外来をもっと知ってもらうために専用のWEBページを作ったり、リスティング広告を始めたりとさまざまな施策を提案してもらいました。
自分でもChatGPTなどを使って調べることはありますが、一般的な情報は分かっても、「自分のクリニックの状況なら具体的に何をしたらいいのか」というところはなかなか難しいんですよね。
また、自分一人で考えているとどうしても発想が限られてしまいます。
そういうときに、第三者から別の視点で提案してもらうと、「なるほど、それならやってみよう」と新しいことに挑戦するきっかけになります。
トラベルワクチンの拡大についても、最初からすべて自分で考えていたわけではありません。相談しながら一つずつ取り組みを広げてきたからこそ、今の形になっているのだと思います。
「困ったときに相談できる」「次に何をすればいいかを一緒に考えてくれる」。
そういう存在がいることは、クリニックを経営していく上でとても心強いですね。
地域の子どもたちに安心を届けるクリニックであり続けるために
―― 最後に、これからの地域医療を担っていく全国の小児科の先生方へ、先生が考える「これからの小児科医療」についてメッセージをお願いいたします。
地方の医療環境は、決して楽観できる状況ではありません。小児科の数が減っていけば、それだけ地域の子どもたちが安心して医療を受けられる場所も少なくなってしまいます。
私が何より大切だと考えているのは、まず「クリニックを存続させること」です。
自分自身が健康で元気に診療を続け、地域のお母さんや子どもたちに医療を提供し続ける。それが、地域に根ざした小児科としての使命だと思っています。
そのためには、昔からのやり方にこだわりすぎず、その時々に合ったものを柔軟に取り入れていくことも必要だと思っています。
メディカル革命を導入したのもその一つです。予約業務を効率化できただけでなく、LINEを通じて患者さんと診療外でもつながったり、これまでとは違う新しいスタイルのクリニックへと変わるきっかけになりました。
今振り返ると、メディカル革命がなければ今のクリニックのあり方や経営は考えられなかったと思います。クリニックはまだまだ変えていけるんだと実感しています。
これからも時代の変化に合わせて、自分たちの医療のあり方を柔軟に変えながら、この地域で「ここに来れば安心」と思ってもらえる小児科を目指していきたいですね。
―― 【編集後記】
森田先生が語ってくださった「お母さんたちの笑顔が子どもの笑顔をつくる」という言葉がインタビューを終えた今も心に残っています。
今回のお話を伺い、予約の利便性を高めることは、単にクリニックの業務を効率化するだけではなく、患者さんとのつながり方や医療そのもののあり方を変えていく可能性があるのだと改めて感じました。
私たちも、単なる「予約システムを提供する会社」ではなく、先生方が大切にされている医療や想いを地域の親子へ届けるための「相棒」でありたいと思います。
森田先生、貴重なお話を本当にありがとうございました。
▼ 森田小児科医院 WEBサイト
https://www.morita-c.net/