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人事労務を改善! 医療機関の人事マネージメント【リーダーシップ編】

こんにちは。ICTコンサルタントの山久啓次郎です。
クリニックの院内人事とは、考えることが多く、一筋縄ではいかないものです。

これまで、人事制度の基礎となる3つの理論と、
人事労務を改善! 医療機関の人事マネージメント【基礎理論編】
信頼関係を構築するコミュニケーション方法についてお伝えしてきました。
人事労務を改善! 医療機関の人事マネージメント【コミュニケーション編】
ぜひご一読ください。

医療機関、特に小規模なクリニックでは、人事体制やコミュニケーションにおいて、院長の業務への取り方や部下への態度も重要です。
今回は、院長のリーダーシップについてお伝えします!

山久啓次郎 (株式会社医療予約技術研究所 ICTコンサルタント)

yama2 医院様へのシステム導入を通じて、経営や医院運営のコンサルティングをさせていただいております。
前職では医療関連のシステム開発に携わりながら、実際の医院様の業務改善に努めてまいりました。その後、知識と経験を活かすために医療予約技術研究所へ入社させていただきました。
どうぞよろしくお願いいたします。

1. リカート(リッカート)のシステム4

リカートは、組織をシステムとして捉え、リーダーシップにかかわる管理システムを4分類し、
「独裁的なリーダーシップのもとでは生産性が最低で、生産性が最高になるのは民主的なリーダーシップのときである」
としました。

システム1:権威主義・専制型 生産高:最低

独裁的リーダーシップを原因とする。
リーダーは部下を信頼せず、意思決定に参加させない。
部下には少ない報酬(アメ)と恐怖・脅迫・懲罰(ムチ)で労働を強制する。

② システム2:温情・専制 生産高:第3位

権威主義的リーダーシップを原因とする。
部下をある程度信頼するが、多くの意思決定・目標設定はリーダーが行う。
アメとムチをほのめかし(強制と給付)、部下の動機づけを行う。
部下の側には恐怖・警戒心がみられる。

③ システム3:参画・協調型 生産高:第2位

放任的リーダーシップを原因とする。
部下を全面的にではないがある程度信頼し、日常・個別的な問題は部下に委譲する。
基本的方針や全般的決定権はリーダーにある。
相互的なコミュニケーションが行われ、動機づけは主に報償(時に懲罰)・ある程度の参画で行われる。

④ システム4:民主主義型 生産高:最大

民主的リーダーシップを原因とする。
リーダーは部下を全面的に信頼する。
意思決定は組織全体で行われるが、ばらばらにならず統合されている。
部下に全面的に参画が認められ、動機づけとなる。
コミュニケーションは部下と上長だけでなく、同僚間でも行われる。

小規模なクリニックでは、院長が独裁的にふるまう場合も多く見受けられます。
組織を見直し、システム1~3に当てはまるようであれば、民主的なリーダーシップが発揮できるように、意思決定や情報伝達のシステムを作り込む必要があります。

2. マネジリアルグリッド理論

マネジリアル・グリッド理論とは、ブレイクとムートンが提唱した、リーダーシップ行動論の1つです。
リーダーシップを「人間に対する関心」「業績に対する関心」という2軸に分け、それぞれへの関心度を9段階×9段階のグリッドに分けて分析しました。
さらにリーダーシップを典型的な5つの類型(1・1型、1・9型、9・1型、9・9型、5・5型)に分類し、9.9型が最も理想的な累計であるとしました。

1.1型:放任型リーダー

与えられた仕事にのみ関心をもつ。
生産(業績)にも人間(組織の維持)にも無関心。

1.9型:人情型リーダー

人間への関心が高く、生産を犠牲にしても人間関係を重視。

9.1型:権力型リーダー

業績への関心は高いが、人間への関心は低い。
人間を犠牲にしても生産性を高めようとする。

5.5型:妥協型リーダー

生産にも人間にもほどほどの関心をもつ。
バランス型ともいえる。

9.9型:理想型リーダー

生産にも人間にも高い関心を示す。

これと近い学説に、三隅二不二(みすみじゅうじ)の「PM理論」があります。
リーダーシップを「Performance:目標達成能力」と「Maintenance:集団維持能力」の2能力で構成されるとし、2つの能力がいずれも高いリーダーシップが望ましいと主張するものです。

3. 歯科医院長のリーダーシップモデル

永山正人氏の研究によると、院長の行動は5つの型に分類でき、「チームプレイ型」「個人プレイ型」において患者数が最多となり、「チームプレイ型」において売上が最高になることが実証されています。
下記に、5つの行動パターンとその特徴をご紹介します。

① 個人プレイ型

院長が個人プレイで積極的に診療の改善に努めている。
従業員に厳しく接する。患者への説明不足や無愛想な傾向がみられる。
主たる行動:革新指向
成果:患者数大、自費率大

② 成り行き管理型

全体としてマネージメントに消極的である。
日々の診療をこなしているだけ。
主たる行動:なし
成果:なし

③ チームプレイ型

従業員に依存することを認識し、高い達成水準へ向けて協働させている。
主たる行動:達成基準への連動化、支持関係の構築
成果:患者数大、売上最大

④ 状況順応型

対外的関係に対処し、活動から生じる定量的結果をきちんと評価する。
意図しての基本行動を重視。
主たる行動:ネットワーク指向、業績評価
成果:なし

⑤ 業績評価型

医療行動から生じる業績(レセプトの点数などの結果)をきちんと評価している。
医院の特色や院長の魅力に欠け、労働環境も劣り、退職者が多い。
主たる行動:業績評価
成果:なし

参考文献:
(公社)日本医業経営コンサルタント協会・編『歯科医院コンサルティングマニュアル』一世出版

歯科医院におけるリーダーシップのモデルですが、他の診療科にも通じるといえるでしょう。

まとめ

医療機関の生産性(患者や売上)を最大化するリーダーシップとは、

1. 部下を信頼し、組織全体で意思決定を行う(民主的)
2. 人間(部下個人、組織維持)にも業績にも高い関心をもつ
3. パフォーマンスを高める努力を、部下と一緒に行う

医療機関の運営には考えるべきこと(増患、設備投資、イベントなど……)が多く、院長は常に多忙です。
しかし、院長のリーダーシップがもたらす医院運営全体へ影響力は、考慮する価値大です。
まずは院長自身の行動の見直しや、部下の観察からはじめてみてはいかがでしょうか。

山久啓次郎 (株式会社医療予約技術研究所 ICTコンサルタント)

yama2 医院様へのシステム導入を通じて、経営や医院運営のコンサルティングをさせていただいております。
前職では医療関連のシステム開発に携わりながら、実際の医院様の業務改善に努めてまいりました。その後、知識と経験を活かすために医療予約技術研究所へ入社させていただきました。
どうぞよろしくお願いいたします。
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