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人事労務を改善! 医療機関の人事マネージメント【基礎理論編】

こんにちは。ICTコンサルタントの山久啓次郎です。
採用、院内コミュニケーション、評価の方法……
クリニックの院内人事とは、悩みが尽きないものですね。

人件費についても、大いに気になるところですね。
歯科経営を改善! 削るお金・削らないお金【固定費・将来投資編】
こちらは歯科医院を対象とした記事ですが、さまざまな診療科で参考にしていただけます。

特に小規模な医院では組織が小さいので、人間関係がこじれると大きな問題になってしまいます。
それだけに、人事労務対策は重要なのです。

これからは数回に分けて、主に小規模なクリニックや歯科医院での人事・労務についてお伝えします。
初回となる今回は、人事を考える基礎となる、有名なを学説3つご紹介していきます。

山久啓次郎 (株式会社医療予約技術研究所 ICTコンサルタント)

yama2 医院様へのシステム導入を通じて、経営や医院運営のコンサルティングをさせていただいております。
前職では医療関連のシステム開発に携わりながら、実際の医院様の業務改善に努めてまいりました。その後、知識と経験を活かすために医療予約技術研究所へ入社させていただきました。
どうぞよろしくお願いいたします。

1. マズローの欲求5段階説

多くの企業で、この理論に対応した人事施策が採用されています。
マズローは、「人間の欲求は5段階で構成されており、低次の欲求が満たされればより高次の欲求を満たしたくなる」としました。

生理的欲求<安全の欲求<社会的欲求<尊厳の欲求<自己実現の欲求
←低次(外的に満たされたい)   (内的に満たされたい)高次→

① 生理的欲求


生きるための基本的・本能的な欲求(食べたい、寝たい など)。
人事・労務施策:継続的な雇用、賃金水準の維持、休憩時間(昼休み)の確保、休日の確保 など

② 安全の欲求

危機を回避したい、安全・安心な暮らしをしたい(雨風をしのぎたい、健康でいたい など)という欲求。
人事・労務施策:医療安全対策、社会保険、健康診断・検査、予防接種の医院負担、有給休暇の取得、産休・育休の取得 など

③ 社会的欲求(帰属欲求)

集団に属したり、仲間を欲したりという欲求。
人事・労務施策:チーム編成、歓送迎会などのイベント、朝礼・全体ミーティング など

④ 尊厳の欲求

他者から認められたい、尊敬されたいという欲求。
人事・労務施策:表彰制度、人事評価、昇進、社内候補制度 など

⑤ 自己実現の欲求

自己の能力や可能性を最大限に発揮・具現化し、自分がなりえるものになりたいという欲求。
人事・労務施策:希望制の研修制度、自己啓発への補助 など

高次の欲求が満たされない場合、低次の欲求に戻ることはありません。
金銭面で満足している人に給与を上乗せしても、意欲は大して変わらないということです。
しかし、低次の欲求が欠乏を充足したいという「欠乏動機」であるのに対し、高次の欲求は満たされれば満たされるほどさらに強まる「成長動機」であるといわれています。
すなわち、スタッフの意欲や能力を最大限に引き出し、それを維持するには、低次の欲求を満たした上で、より高次の欲求を満たし続けなくてはならないのです。

2. マクレガーのXY理論

マクレガーはマズローの理論に影響を受けました。
マズローの欲求5段階のうち、下位の欲求に対応するのがX理論、上位の欲求に対応するのがY理論です。

① X理論

「人間は本来は怠惰な生き物で、責任をとりたがらず、放っておくと仕事をしなくなる」という考え方です。
この理論にもとづくと、スタッフを命令や強制で管理し、目標が達成できなければ懲罰を行う、いわゆる「アメとムチ」の施策になります。

② Y理論

「人間は本来進んで働きたがる生き物で、自己実現のために自ら行動し、進んで問題解決をする」という考え方です。
この理論にもとづくと、自主性を尊重する施策になります。
スタッフがより高次の欲求段階にある場合に有効です。

マクレガーの理論からは、動機づけの手段として有効なのは、組織の目標と個人の目標とを統合し、個人の主体的な参画を促す「目標管理制度」である、ということがいえますね。

たとえば歯科医院なら、毎月クリニック全体の自由診療の目標件数を決め、それに基づいてスタッフ1人1人の目標件数を定めます。
個々人が目標を達成するにはどうすればいいか、主体的に提案・実践してもらいます。

3. ハーズバーグの2要因理論

現在の人事評価制度を設計するうえでの基本理論です。
「人間が仕事に満足感をもつ要因(動機づけ要因)と、不満足を感じる要因(衛生要因)は全く別物である」というものです。

ハーズバーグは人間の欲求を「苦痛を避けようとする欲求」と「精神的に成長したいという欲求」の2つに分けました。
苦痛を避けようとする動物的な欲求を満たしても、不満足感が減少するだけで積極的な満足感は得られない。
また、たとえ精神的に成長しようとする欲求を充たすことができなくても、不満足感が増加するわけではないということです。
ここで、仕事における衛生要因と動機づけ要因について少し説明します。

① 衛生要因

給与など。もらって当たり前と感じ、欠けると一気に不満が高まります。
たとえば、時間外手当の時間数が雇い主が勝手に削減すると、怒りと不信感を招きます。
また、給与や評価での「損をさせられている」という気持ちは、職場に大きな悪影響をもたらします。
時間外手当の計算などで不正をしない、嫉妬感や不平等感を抱かせない仕組みづくりや運営を心がけましょう。
そのほか衛生要因の例として、組織の方針、管理方法、対人関係、労働環境などがあります。

② 動機づけ要因


賞与など。一定レベルを超えると、満足度が急激に高まり、意欲や能力の向上を促せます。
ボーナスが多い、褒賞制度がある、希望により研修が受けられるなど、「この医院に勤めてよかった!」と思わせるなにかがあるとよいでしょう。
そのほか動機づけ要因として、達成すること、承認されること、仕事そのもの、責任、昇進などが挙げられます。

ハーズバーグの理論からは、人事制度の設計には、動機づけ要因にアプローチすることが重要だとわかりますね。
賞与や報奨金の設定、裁量範囲の拡大、責任と権限の増加などが有効です。

まとめ

今回お伝えしたことをまとめます。

1. より高次の欲求を見たし、意欲や能力を引き出そう
2. 組織の目標と個人の目標を統合した「目標管理」で主体的に動いてもらおう
3. 賞与の設定や裁量範囲の拡大で、動機づけ要因にアプローチしよう

医院にとって、スタッフには決められた給与のなかで最大限の能力を発揮してもらいたいものです。
また、スタッフ自身にとっても成長は欠かせないものです。
そのためには意欲を引き出し、気持ちよく働いてもらうことが大事。
ぜひ一度、見直してみてくださいね。

山久啓次郎 (株式会社医療予約技術研究所 ICTコンサルタント)

yama2 医院様へのシステム導入を通じて、経営や医院運営のコンサルティングをさせていただいております。
前職では医療関連のシステム開発に携わりながら、実際の医院様の業務改善に努めてまいりました。その後、知識と経験を活かすために医療予約技術研究所へ入社させていただきました。
どうぞよろしくお願いいたします。
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