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医療機関での人事評価・注意点と対策編【医療機関の人事・労務】

こんにちは。ICTコンサルタントの山久啓次郎です。
クリニックの人事・労務のうち、人事評価(人事考課)は重要な柱の1つとなっています。

前回は、人事評価の基礎についてお伝えしました。
医療機関の人事評価・基本おさらい編【医療機関の人事・労務】
ぜひ、あわせてご覧ください。

前回の記事でも少し触れましたが、人事評価には、つまづきやすい点(評定誤差)がいくつかあります。
今回は「評定誤差」とその対策についてご紹介します。

山久啓次郎 (株式会社医療予約技術研究所 ICTコンサルタント)

yama2 医院様へのシステム導入を通じて、経営や医院運営のコンサルティングをさせていただいております。
前職では医療関連のシステム開発に携わりながら、実際の医院様の業務改善に努めてまいりました。その後、知識と経験を活かすために医療予約技術研究所へ入社させていただきました。
どうぞよろしくお願いいたします。

評定誤差とは

人事評価は、可能な限り客観的に、事実・真実に基づいて行われることが理想的です。
しかし、評価を行うのも、評価を受けるのも人間。
思い込みや誤解、個人的な感情などが知らず知らずのうちに入り込み、公正・公平な評価ができなくなるときがあります。
こうした評価者が陥りやすいエラー「評定誤差」とよびます。

1. ハロー効果(halo effect)

光背効果、後光効果ともいいます。
ハローとは、仏像や神像にの後ろに描かれる光輪(後光)のこと。
ハロー効果とは、対象を評価するときに、目立ちやすい特徴に引きずられて、他の特徴への評価が歪められやすくなることです。
長所に引きずられて対象を過大評価する「ポジティブ・ハロー効果」と、逆に欠点に引きずられて対象を過小評価する「ネガティブ・ハロー効果」があります。

ハロー効果の例

・患者対応が得意なスタッフに対し、技能面でも優れていると思ってしまう(ポジティブ・ハロー効果)
・整理整頓が苦手なスタッフに対し、器具のメンテナンスも苦手だと思ってしまう(ネガティブ・ハロー効果)

ハロー効果への対策


評価基準を明確に
人事評価表の「評価基準」を明確にし、これに忠実に評価しましょう。
複数人で評価する
現場の状況を知る管理職などをメンバーに入れ、意見を聞きましょう。
項目ごとに評価者を変えるのも有効な手段です。
具体的な行為・行動を日頃から記録しておく
日常的な行動や考え方を記録しておき、判断材料としましょう。
評価者1人がスタッフ全員について細かく観察・記録するのは難しいので、スタッフに日報などを書いてもらうのも1つの方法です。

2. 論理的誤差

表面に現れている1つの特性を見て、その特性に似た他の特性まで同じレベルだと思ってしまうこと。

論理的誤差の例

・仕事を覚えるのが早いスタッフに対し、疾病に対する知識も豊富だと思ってしまう(記憶力があるから知識もあると誤解)
・自由診療への誘導が苦手なスタッフに対し、コミュニケーションも苦手だと思ってしまう(営業力に欠けているからコミュニケーション能力にも欠けていると誤解)

論理的誤差への対策

各評価項目の違いや主旨を明確にする
事例を考えると、より違いが見えてくるようになります。
評価表において、似た項目を近接させない
時間を置いて判定するのも1つの方法です。

3. 寛大化傾向

評価が全般的に甘くなる傾向。
評価者も人間なので、スタッフから嫌われたくない、人間関係を良好に保ちたいと思うものです。
また、分院長の場合、他の分院より自院の成績をよく見せたいので評価を高くしてしまうこともあるようです。

寛大化傾向が起こりやすい事例

・ベテランパートスタッフの機嫌を損ねたくない
・転職を考えているらしいが、辞めてほしくない
・自分の部署やグループをよく見せたい

寛大化傾向への対策

仕事に私的感情は持ち込まないという倫理観を強く持つ
評価前には常に確認し、忘れないようにしましょう。
私的な感情の介入がないことを、評価者・スタッフともに理解することが大事です。
数値だけでなく言葉で記述する
評価に対し、具体的な理由をコメントしましょう。

4. 中心化傾向

評点が「普通」に集中する傾向。
評価者が、自身の下す評価に自信を持てない、スタッフのことをよく知らない、高評価や低評価の場合にするべき理由の説明をしたくない、などの場合に起こりやすいエラーです。

中心化傾向が起こりやすい事例

・みんなで仲良くがんばっているから…(スタッフ間の人間関係を崩したくない)
・成績はよくないが、真面目だから…
・わからないので「普通」にせざるを得ない

中心化傾向への対策

評価ランクに、分布制限を設ける
分布に制限を行う(A:5%、B:10%、C:40%、…など)
評価ランクの段階数を奇数ではなく偶数にする
「普通」「どちらでもない」にあたる真ん中のランクがなくなり、必然的によいか悪いかに分けることができます。
評価に自信をもつ
評価者訓練などを受け、評価に対する自信をつけましょう。
スタッフ1人1人について情報収集する
当該スタッフの日報などを読み返す、そのスタッフのことをよく知る別のスタッフを評価チームに入れるなどの方法があります。

4. 対比誤差

評価の基準を評価者自身に置き、スタッフを自分自身と比較してしまうこと。
評価者は、客観的基準を無視し、自分が得意な分野ではスタッフを過小評価し、苦手な分野では過大評価してしまいます。

対比誤差の事例

・自分は技術に自信があるので、技術力の平均的なスタッフでも「技術力が低い」と思ってしまう
・自分は患者対応が苦手なので、平均的な接遇を行うスタッフでも「患者対応に優れている」と思ってしまう

対比誤差への対策


「自分の価値観が正しい」という思い込みを持たない
自分の得意・苦手を見直し、どの分野で対比誤差が起こりそうかを予測しておくのもよいでしょう。
複数人で評価する
特に現場の状況を知るスタッフの意見を参考にしましょう。

まだまだあります、評定誤差その他

期末効果

期末(評価を行うことが多い時期)に、その直近の事柄が印象に残り、評価を歪めてしまうこと。
主に情意・能力評価に起こりがちです。
日頃からコミュニケーションを取る、観察をする、日報を活用するなど、普段からスタッフの行動を把握することが防止策になります。

近接誤差

人事評価表に、類似した評価要素が連続していたり、または短時間で集中的に評価したりする際に、各要素の評価結果が類似してしまうこと。
評価の根拠となる事実を把握・整理する、多面的に評価する、多くの評価を一気に行わないなどが有効な防止策です。
余裕を持って評価できるスケジューリングが大事だといえますね。

まとめ

今回は、人事評価を行う際に注意すべき「評定誤差」についてお伝えしました。
評価を行うのも、評価を受けるのも人間ですから、思い込みや誤解、個人的な感情の介入はどうしても起こります。
それらで評価を歪めないようにするには、評定誤差を知り、対策することが大事です。

次回は、評定誤差の起こらないような評価体制づくりについてお伝えします。

山久啓次郎 (株式会社医療予約技術研究所 ICTコンサルタント)

yama2 医院様へのシステム導入を通じて、経営や医院運営のコンサルティングをさせていただいております。
前職では医療関連のシステム開発に携わりながら、実際の医院様の業務改善に努めてまいりました。その後、知識と経験を活かすために医療予約技術研究所へ入社させていただきました。
どうぞよろしくお願いいたします。
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