こんにちは! ICTコンサルタントの山久啓次郎です。
今回は、歯科医院の経費についてお話ししていきます。
「無駄遣いをしていないか」。
家計のやりくりでも、会社経営でも、誰だって気になることです。
もちろん、歯科経営だって例外ではありません。
どんな費目もお金がかからないに越したことはないのですが、かと言って節約節約となんでも切り詰めると、患者さんの満足度は下がり、スタッフの不満は募ります。
大切なのは、必要なところにお金をかけて、そうでない部分は節制すること。
では具体的にお金をかけるべき「必要なところ」とは? 節制すべき「その他の部分」とは?
歯科医院で計上される費目は多くありますが、その中でも今回は特に技工費と材料費についてお伝えしていきます!
技工費・材料費は売上に対する比率で考える
技工費・材料費は収入との関連性が特に強い費目で、収入の増減によって技工費・材料費も増減します。
ですので、売上に対する比率を見ていきます。
技工費・材料費は区別して分析することも多いのですが、技工用の金属を医院で購入している場合はその購入金額が材料費として計上され、技工所で購入している場合には技工費として計上されています。
ですので、区分があいまいな場合は、両者の合計比率で考えていきましょう。
技工費~技工所は 単価×技術力 で選ぶ!
特に技工士さんを雇用せず、外注で技工物を作製してもらっている場合についてお伝えします。
外注技工費は、売上の12%以内を目安とします。
複数の技工所と取引している場合は、単純に安いところに頼むのではなく、各技工所の単価と技術力を総合評価して決めるようにしましょう。
精度の高い技工物の場合、チェアサイドでの調整時間や回数が減る、再製個数が減るなどのメリットがあり、診療効率の向上が期待できます。
安いけれど技術力の低い技工所に頼むと、調整時間や回数が増え、患者さんの満足度が下がってしまいます。
ですので、少し単価が上がっても、技術力の高い技巧所のに依頼する方が採算がよくなるといえるのです。
再製個数を分析し、技工所に緊張感を
再製個数はきちんと記録し、分析しましょう。
原因別・医師別・技工所別などとデータ化し、また前月や前年度と比較します。
技工所ごとの傾向が見えてきて、技工所利用の効率化が期待できます。
また、分析していることを技工所に伝えれば、技工所も再製を減らすようさらに努力してくれるかもしれません。
技工費が高い場合は
自費診療が多い場合、技工費率はどうしても高くなります。
ただし20%を超えてしまう場合には、内容を個別に見直す意味でも、治療種別ごとに収入と技工費を管理することをおすすめします。
「自由診療の単価が安い」などの問題点が見つかるかもしれませんよ。
材料費~材料の見直しで抑える!
材料費は売上の9%以内に収めましょう。
厚労省の医療経済実態報告(平成26年)によると、歯科医院の材料費比率は、個人医院で7.5%、医療法人で7.0%となっています。
また、予防型歯科医院では低比率、インプラント治療の多い医院では高比率となります。
歯科材料費の多くを占めるのは歯科用金属代です。
特に保険で使用する金パラジウム合金の価格は高騰中で、歯科経営を圧迫しています。
CR(コンポジットレジン)修復を活用するなど、診療面での工夫も必要となってきますね。
歯科材料には1滴で何十円もする歯科用スーパーボンドなど高価なものもありますが、同時に開発・改良も日々進められています。
ですので、日常的に使う材料についてもこまめに見直し、安価で品質がよく、診療効率を上げてくれるものに切り替えていきましょう。
「長年使っているものをそのまま」では損をしてしまいますよ。
技工費も材料費も、分析・見直しで得を取る
今回お伝えしたことをまとめます。
・材料費は、診療面での工夫やこまめな見直しで工夫。安価で質のよいものを
技工所も材料も、安さだけで選ぶのでは、かえって損をしてしまいます。
技工費については技工所の技術力、材料費については材料の品質も考慮しなくてはなりません。
そうして精度の高い技工品、性能のよい材料を選ぶことで、診療効率や患者満足度の向上が期待できます。
さて、歯科医院でかかるお金には、固定費、広告費、設備投資、人件費……と、まだまだたくさんあります。
それらについても、また別の機会にお伝えしたいと思います。
ではまた!

前職では医療関連のシステム開発に携わりながら、実際の医院様の業務改善に努めてまいりました。その後、知識と経験を活かすために医療予約技術研究所へ入社させていただきました。
どうぞよろしくお願いいたします。